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財務省 累積額控除の見直し含む「毎年薬価改定の完全実施」を主張 費用対効果の保険償還可否判断も

公開日時 2024/04/17 04:53
財務省主計局は4月16日の財政制度等審議会財政制度分科会に、2025年度薬価制度改革に向けて、新薬創出等加算の累積額控除の見直しを含めた「毎年薬価改定の完全実施」を改めて主張した。また、日本の医薬品市場は日本だけでしか販売されていない新薬が多い「顕著な例外」な市場であると指摘。費用対効果評価の本格適用により、薬価配分にメリハリをつけることで、魅力を高めるとともに国際競争力の強化につながるとの見解を表明。費用対効果評価の「保険償還の可否の判断」も含めた本格活用を主張した。あわせて、医薬品のアクセスを確保するために、保険外併用療養制度や民間保険の活用を検討することも提案した。

◎新薬創出等加算の累積額控除「最大2年間の適用の差が生じる」と弊害を指摘

財務省は、薬剤使用量の増加や新規医薬品の保険収載等により、薬剤費総額は年2%程度増加(2010~20年度)していると説明。「高齢化の進展に伴い、さらなる薬剤費の増加が見込まれる中、毎年薬価改定を着実に実施していく必要」があると指摘。「国民皆保険の持続可能性確保とイノベーションの推進を両立させる配分の見直し」を行うことが必要とした。

23年度改定では、新薬創出等加算の累積額控除や長期収載品のZ2やG1・G2ルールの適用のほか、小児や希少疾患の追加承認項目の加算などのルールも適用されていない。財務省は、新薬創出等加算の累積額控除について、「控除のタイミングが2年に1度の場合、上市のタイミングの差で、加算期間で最大2年間程度の適用の差が生じる」などの“弊害”を指摘。24年度薬価制度改革の骨子で、「診療報酬改定がない年の薬価改定については、引き続き検討することとし、24年度速やかに議論を開始することとする」とされていることにも触れた。財務省は、「毎年薬価改定が行われる中で、2年に1度しか適用されないルールがあるのは合理的な説明が困難。例えば、新薬創出等加算の控除については、収載のタイミングによる不公平も生じる」と指摘。「25年度改定では、既収載品の算定ルールについて、全て適用すべき」と主張している。

◎費用対効果評価 薬剤の範囲や価格調整対象範囲を拡大と保険適用可否など本格活用検討を

費用対効果評価の本格活用にも踏み込んだ。日本では、薬事承認された医薬品は基本的にすべて収載される仕組みであることから、「年度途中の保険収載により生じる財政影響は、予算編成においては勘案されておらず、予算統制の枠外となっている」と指摘した。イギリスやフランスなどでは、費用対効果の分析や追加的有用性の評価で保険償還の有無や償還価格を決める仕組みを採用している。一方、日本では、保険償還の可否には用いておらず、価格調整として活用されており、36品目(24年4月時点)と対象が限定的。価格調整も、薬価全体に対するものではなく、有用性加算や営業利益を対象範囲として薬価が引き下げられるため、薬価の引き下げ幅も限定的で最大9.4%の引下げにとどまっている。このため、財務省は、「費用対効果評価を実施する薬剤の範囲や価格調整対象範囲を拡大するとともに、諸外国の例を踏まえ、費用対効果評価の結果を保険償還の可否の判断にも用いることも検討すべき」と主張した。

◎「保険外併用療養制度の柔軟活用・拡大、民間保険の活用について検討を」

費用対効果評価の本格活用により、薬事承認されたものの保険収載されない医薬品の範囲が拡大することが見込まれるとして、「保険外併用療養制度の柔軟活用・拡大、民間保険の活用について検討を行う」必要性も指摘した。

◎OTC類似薬の自己負担のあり方検討を 医薬品の有用性踏まえた自己負担設定を

OTC類似薬に関する薬剤自己負担のあり方も検討することを主張。「医薬品の有用性が低いものは自己負担を増やす、あるいは、薬剤費の一定額までは自己負担とするといった対応を検討すべき」と主張した。

◎日本で販売され米国では販売されていない新薬が39%と異例 メリハリ利かせる必要性を指摘

日本の医薬品市場についての魅力の低下がドラッグ・ラグ/ロスにつながっているとの指摘が製薬業界からあがるが、財務省は日本市場の特徴の一つとして「カントリードラッグ(日本でしか流通していない新薬)が多いとの指摘がある」と説明。実際、日本で販売されているが、米国で販売されていない新薬は新薬の39%(47/122)を占める。ドイツ13%(20/149)、フランス12%(12/98)、イギリス(14/122)、カナダ5%(4/80)と比べて突出して高い。

多くの新薬が最初に米国で販売される中で、日本の状況を「顕著な例外」と指摘。「真に革新的な医薬品と費用対効果が低い医薬品を区分して評価し、小児用・希少疾患用医薬品を適切に評価することを含め、薬価配分にメリハリをつけることは、我が国の医薬品市場の魅力を高めるとともに、製薬企業の国際競争力強化にもつながる」とした。

また、費用対効果評価を学会の診療ガイドラインや最適使用推進ガイドラインにも反映し、「経済性の観点を診療の現場にも徹底させるべき」とも主張した。最適使用推進ガイドラインについては、幅広い医薬品を対象とし、費用対効果評価のほか、減薬・休薬を含めた投与量の調整方法など治療の適正化に関する事項についても盛り込むべきと主張している。

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