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24年度予算編成作業本格化 長期収載品の選定療養 財政効果は「400億~1000億円」 自民党医療委

公開日時 2023/12/07 07:17
2024年度政府予算案の編成作業が本格化してきた。厚労省は12月6日の自民党社会保障制度調査会医療委員会に長期収載品を選定療養に位置付けることで、「400、500億から1000億円」の財政効果があると報告した。長期収載品と後発品の差額について、患者の追加負担を「1/2」、「1/3」、「1/4」とする案を示した。政府は創薬力強化に向けて、イノベーションの財政上の評価も重視しながら議論を進める。厚労省は長期収載品の選定療養について省内の議論を引き続き行うことにしており、年末の予算編成過程で結論を得る方針だ。

厚労省は、この日の自民党医療委員会に長期収載品の選定療養としての位置づけることについて検討状況を報告した。創薬力強化が政府方針となる中で、“イノベーション”のための財源確保が重要課題となっている。

医師の処方権に配慮し、「銘柄別処方(変更不可)で医療上の必要性を理由とする場合」については、先発品としての保険給付を認める方針を説明した。一方で、銘柄別処方(変更可)や一般名処方で、患者希望により先発品を処方・調剤した場合は選定療養に位置付ける方針。選定療養とする対象範囲については、「上市後5年、後発品置き換え率50%」をメルクマルに検討を進める考えを示した。ただ、出席議員からは、点眼薬などを例に、「上市後5年以上経過しても置き換え率が50%未満のものについては、なぜそのような状況になっているかということを丁寧に見て対象を選ぶべきではないか」との意見もあった。

患者の追加負担については、長期収載品と後発品の価格差を“全額”とする参照価格では国民からの理解が得られないとして、価格差の半分以下である長期収載品と後発品の価格差の「1/2」、「1/3」、「1/4」を患者負担とする3案を提示した。出席議員からは、「患者本人の希望で選ぶのであれば、全額患者負担とするなど、自己負担を高くすべきだ」との意見があった一方で、「突然の負担増について患者は敏感だ。負担は広く薄くが望ましい。この選択肢では1/4しかとり得ない」、「なぜ、1/5や1/6という選択肢がないのか」など様々な意見が上がった。

このほか、薬局など現場での混乱を防ぐ観点から処方箋様式の見直しについて検討を進めることも厚労省は報告した。

◎加藤調査会長「財務省から無理筋の球が」 田村医療委員長「連立方程式を解いてでも賃金上げる」

一方で24年度診療報酬改定をめぐっては、物価高騰に伴う医療従事者の賃上げをいかに反映させるかが焦点となっている。冒頭あいさつした加藤勝信社会保障制度調査会長は、「診療報酬改定がいよいよ佳境に入ってきた。財務省からは、かなり無理筋の球が投げられてきている」と指摘。「岸田政権の想い、まさにそれを医療現場においてしっかりと組み込んでいく。こうした診療報酬改定をしていかなければならないと思っている」と強調した。

田村憲久医療委員長は、「これまでは“目安対応”という中において、全体これぐらいしか伸びがないという中で対応してきた」と振り返りながらも、「今回は、病院・医療機関で働いている方々の賃金が3%程度引き上がることなどを一つひとつ積み上げた上で、財源はどこにあるか、ということを財政当局とやり合っていただき、我々政治もいろんな主張をしながら決まっていく話になるだろう」との見方を示した。

ただ、保険料率を上昇させない必要性も指摘し、「なかなか難しい連立方程式ではあるが、その方程式を解いてでも賃金が上がらなければ医療の現場は崩壊することは間違いない」と強調。財政当局を含む政府・与党調整に強い意欲を示した。


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