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諮問会議で武見厚労相 24年度診療報酬改定で「賃上げ、人材確保対応」検討 医療DX推進で効率化推進も

公開日時 2023/12/06 04:51
武見敬三厚労相は12月5日の経済財政諮問会議で、2024年度診療報酬改定について、「医療と介護の役割分担と切れ目のない連携や創薬力強化に向けた更なる薬価上の措置の推進、医療・介護・障害福祉分野の賃上げ、人材確保への対応等について検討を進めている」と報告した。同日の諮問会議では、2024年度を改革の初年度に位置付けた「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」の素案が示された。診療報酬改定も改革工程に沿った実施が求められる中で、武見厚労相は、電子カルテの普及を含めた医療・介護DXの推進など「効果的・効率的で質の高いサービスの実現」に向けた取り組みをあわせて進める考えを強調した。

同日の諮問会議では、全世代型社会保障構築会議による24年度を初年度とする改革工程の素案が示され、これを踏まえて社会保障について議論がなされた。本格的な高齢化、人口減少時代を迎え、全世代型社会保障構築の必要性が高まる中で、経済、財政、社会保障を包括的に捉え、持続的成長に向けて、整合的に政策を講じていくことが狙い。

◎改革工程表「給付と負担のバランス含めた不断の見直し」医師偏在や働き方改革にも注力

改革工程では、医療・介護制度改革について、「負担能力に応じて、全ての世代で、増加する医療費・介護費を公平に支え合うことができるよう、引き続き、給付の在り方、給付と負担のバランスを含めた不断の見直しを図る必要がある」と指摘。質が高く効率的な医療提供体制を構築する観点から、「医療の機能分化と介護を含めた連携の更なる推進、医師偏在対策、人材の確保・育成、働き方改革等に力を注ぐとともに、ニーズの変化やデジタル技術の著しい進展に対応したサービス提供体制の改革を進めていく必要がある」と明記した。

◎24年度実施「イノベーションの適切評価、長期収載品の保険給付のあり方の見直し」

24年度に実施する取組としては、「イノベーションの適切な評価などの更なる薬価上の措置を推進するための長期収載品の保険給付の在り方の見直し」のほか、食材費等の高騰を踏まえた入院時の食費の基準の見直しなどを盛り込んでいる。

◎民間議員 24年度トリプル改定「報酬体系相互にメリハリ付け」求める

諮問会議の民間議員は、「少子高齢化、人口減少時代の中で、社会保障は経済成長の根幹であり、経済と社会保障一体として刷新強化する必要がある。そのために、DXや新技術の社会実装の徹底を含め、経済財政一体改革の推進により、生産性向上や歳出効率化、個別最適なサービス提供を実現すべき」などの意見があがった。24年度のトリプル改定については、「社会保障分野に従事する方々の処遇改善とともに、報酬水準が国民負担につながることを踏まえ、改革の道筋の初年度にふさわしい歳出効率化を大胆に実施。医療と介護の連携強化に向けて、報酬体系相互にメリハリ付け」することを求めた。

◎鈴木財務相「処遇改善と同時に適正化で大胆にメリハリ」で現役世代の保険料負担抑制

鈴木俊一財務相は、24年度改定について、「処遇改善と同時に適正化を行い、大胆にメリハリをつけることで、現役世代の保険料負担の抑制に取り組む」との見解を示した。改革項目については、「関係省庁とも協力し、一つひとつの項目について、聖域なく、実現に向けて取り組む」とした。

武見厚労相は、「負担能力に応じて、全ての世代で、公平に支えあうための見直しが必要。また、社会のダイナミズムを取り込みながら、全ての国民が、必要な医療・介護サービス等を安心して受けられる体制確保も重要。こうした考え方の下、医療DX等、医療提供体制等の確保、報酬改定、予防・健康づくり等に取り組む」と表明した。

医療・介護DXについては、「より質の高い医療・介護の提供と効率化」に向け、マイナ保険証の利用促進、電子処方箋や電子カルテの普及等に向けた取組、医療等情報の二次利用に係る議論等を進めるとした。

医療DXの基盤となる電子カルテの普及も論点となっている。内閣府は、米国の急性期病院のデータを引き合いに、「電子カルテの導入による医療の質と安全を高める効果は、普及率の低い小規模医療機関ほど大きい」可能性を指摘。標準型電子カルテの本格実装を強力に推進することが重要とした。

武見厚労相は、「電子カルテは医療DXを推進する柱の一つにすぎない。経済のダイナミズムと社会保障構築をどのように整理し、政府と民間の役割をどのように分担していくかが重要だ。電子カルテのプラットフォーム標準化、診療報酬の電子化など社会保障改革の全体の原動力としたい」との見解を表明。中小病院や診療所では電子カルテの普及が50%未満であることに触れ、「遅くとも2030年にはおおむね全ての医療機関において電子カルテの導入を目指すために、より低コストかつスピード感を持って実現する必要がある。このために未導入の医療機関向けに標準規格に準拠したクラウドベースの電子カルテの整備を行うこととしている。今年度中には必要な要件定義を行い、来年度中に開発に着手し、試行的実施を目指している。医療機関のコスト負担にも十分配慮しながら、電子カルテに努める」と述べた。

◎岸田首相 DX推進、新技術の社会実装、EBPMの徹底がカギ

岸田文雄首相は、「成長と分配の好循環が実現する新たなステージにおける全世代型社会保障の構築に向けては、経済、財政、社会保障を包括的に捉え、人口減少下での持続的成長に向けて、整合的に政策を講じていくことが重要だ」として、成長力強化と社会保障の持続可能性向上への取組を一体として強化する姿勢を強調した。

そのカギとして「DX推進や新技術の社会実装、そして、EBPM(証拠に基づく政策立案)の徹底」をあげ、「医療・介護の分野でのDXや新技術の社会実装の徹底により、国民一人一人への最適なサービスを提供するとともに、歳出の効率化や生産性の向上を実現する。また、EBPMの徹底により、データに基づき政策の効果を検証し、その結果を予算編成にも活用できるようにする」と述べ、武見厚労相に改革の推進を指示した。
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