【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

日医・四病協が合同声明 24年度診療報酬改定「大幅引上げ強く求める」 日病「入院基本料引上げは悲願」

公開日時 2023/11/17 04:50
日本医師会と四病院団体協議会は11月15日、2024年度診療報酬改定に向けて、「大幅な診療報酬の引き上げの改定を強く求める」とする合同声明を公表した。同日開いた会見で、日本医師会の松本吉郎会長は、「日本医師会と病院団体をはじめとする医療界が一体一丸となって、政府与党に対し、今後も働きかけを行う」と強調し、財務省を牽制。日本病院会の島弘志副会長は、「物価高騰や賃金上昇などにより、経営環境の厳しさが増す病院にとって、入院基本料の引き上げは悲願」と述べ、「入院基本料の引上げを強く要望する」と述べた。

◎日病・島副会長 入院基本料15年間据え置き「なんとか打破を」

日本病院会の島副会長は、入院基本料の引上げを求める嘆願書を病院のハンス以上に当たる4605病院が提出したとして、「日本中の病院からぜひ入院基本料引き上げてほしいという悲痛な叫び訴えではないかと捉えている」と指摘。医業利益の赤字病院が8割超の状況にあるとの調査結果を引き合いに、「光熱費や人件費が上がったために入院基本料の引き上げを要望しているのではなく、基本的な入院医療に対して維持、あるいは病院経営が成り立つようにしてもらわないといけない」との考えを示した。

財務省は診療報酬本体マイナス改定と主張したことに対し、「仮に入院基本料の引き上げがなかった場合、人件費や設備、質の維持などの費用を制限することにつながり、結果として入院医療の質を担保できなくなることを日本病院会は強く懸念している」と表明。「国民の生命と健康を守るため、病院の訴えである入院基本料の引上げの必要性をご理解いただき、次期診療報酬改定においては大幅な入院基本料の引き上げを決断されるよう、強く要望する」と述べた。入院基本料が15年間据え置かれる中で、物価が高騰している現状に危機感を示し、「据え置かれている状況はなんとか打破していただきたい」と訴えた。

◎全日病・猪口会長「他産業に人が流れてしまう」 危機感露わ

全日本病院協会の猪口雄二会長は、「病院では本当に、いまの状況で賃上げする余裕がない。世間並みの賃上げができないということは、他産業に人が流れてしまう」と指摘。「診療報酬やその他の方法での財政支援をしていただかないと、病院を運営するのが困難になってしまう」として、財政措置を要望した。

◎医法協・加納会長 民間病院支える医療持続に危機感「大幅なプラス改定しか救うことはできない」

日本医療法人協会の加納繁照会長は、コロナ禍での空床補償の補助金が10月以降全く入らなくなる中で、民間病院の医業利益が赤字に転落する懸念を表明。「2年どころか数年連続でマイナスということは民間病院にとっては倒産を意味する」として、「日本は、民間医療機関が支えてる医療体制という特異な国だが、その体制が全く崩れてしまう可能性があるのではないかと危惧している」と危機感を露わにした。そのうえで、物価高騰や賃上げに直面し、「次期診療報酬改定で大きなプラス改定がなければ、日本は大変なことになってしまう。大幅なプラス改定しかこれを救うことはできない」と強調した。

◎日精協・長瀬顧問 プラス改定逃せば「経営の危機はもちろん、賃上げは不可能」

日本精神科病院協会の長瀬輝諠顧問は、財務省が医療機関の内部留保を賃金引上げの原資に活用すべきと提案していることに対し、「実際にそのような医療機関は、あるか、ごく一部」と指摘。「ストックでの賃上げ対応では一時的なもので、持続的な賃上げは不可能。フローによってのみ持続的な賃上げが可能となる」として、持続的な賃上げには診療報酬改定での対応が不可欠との考えを示した。そのうえで、「2年に1回のタイミングでの診療報酬プラス改定を逃してしまえば、医療機関は経営の危機はもちろんだが、賃上げは不可能になってしまう」訴えた。

◎地域医療の観点から「どちらかを良く、どちらかを悪くはあり得ない」 分断煽る財務省に反発

財務省が財政制度等審議会で、初・再診料の引下げを提案するなど、診療所を狙い撃ちし、医療界の分断を煽る動きをしている。

これに対し、「コロナに対し、病院・診療所一丸となって戦った。病院・診療所という切り分けではなく、日本の医療機関としてしっかりと捉えていただきたい」(医法協・加納会長)、「診療所と病院が一体となって、日本の国民の命と健康を守ってきた。これからも診療所を引下げて、それを良いバランスにするみたいな発想はちょっとあり得ない。診療所だけは特別という話はあり得ない」(日病・島副会長)、「地域医療という観点から見たときに、病院と診療所が連携しながら在宅を含めた患者さんを診ていくことが中心となっている。病院と診療所、どちらかを良く、どちらかを悪く、というような考え方はあり得ないだろう」(全日病・猪口会長)、「厚労省の目指す地域包括ケアでは、診療所も病院も一体となって患者と過ごすことを目指しており、これを分断するようなことはあり得ない」(日精協・長瀬顧問)など、病院・診療所が一体であることを強調した。

日本医師会の松本会長も、「地域ごとで医療の事情は異なるし、医療的資源も異なる」と指摘。診療所がなく、病院が地域医療の核となり、かかりつけ医機能も同時に果たす地域もあれば、病院が近隣になく診療所ですべてカバーする地域もあると説明。「どちらかを上げて、どちらかを下げるという話はあり得ない」と述べた。

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(4)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー