田辺三菱製薬 完全子会社の吉富薬品を24年3月末を目途に吸収合併 さらなる生産性向上目指す
公開日時 2023/10/05 04:50
田辺三菱製薬は10月4日、完全子会社の吉富薬品を2024年3月末を目途に吸収合併すると発表した。吉富薬品は精神科領域の医療用医薬品に特化したプロモーション会社。今回の吸収合併により、精神科領域で培った吉富薬品の実績と経験を田辺三菱製薬に承継することで、「さらなる生産性の向上と適正使用の推進を目指す」としている。
田辺三菱製薬は、精神安定剤・デパスや遅発性ジスキネジア治療薬・ジスバルなどの精神科領域製品の製造販売元だが、同領域製品のプロモーション活動は行っておらず、吉富薬品が担ってきた。吸収合併により、田辺三菱製薬にプロモーション活動を集約することで、「組織として一体となって活動でき、効率がより上がると考えている」(田辺三菱製薬広報部)という。
◎吉富薬品の機能継承する「精神科領域部」(仮称)を新設 従業員は適材適所に配置
吉富薬品が保有するプロモーションなどに関する全ての権利や義務は田辺三菱製薬に承継し、田辺三菱製薬の営業本部内に新設予定の「精神科領域部」(仮称)に吉富薬品の機能を移す予定。吉富薬品の従業員160人(23年4月1日現在、MR数非開示)は全員、田辺三菱製薬からの出向者だが、今回の吸収合併に伴って出向を解除し、今後、適材適所に配置する予定。吉富薬品MRの配置も今後決める。田辺三菱製薬では、大多数のMRが営業推進統括本部に配属され、基本的に全製品を取り扱っている。吉富薬品MRを営業推進統括本部に配属するのか、新設する営業本部内の精神科領域部に配属するのかを今後決めるとみられる。吸収合併に伴う早期退職者の募集を「現時点で行う予定はない」(広報部)としている。
吉富薬品は、持田製薬の抗うつ薬・レクサプロや、ニプロのアルツハイマー型認知症治療薬・ガランタミンOD錠「ニプロ」など、田辺三菱製薬以外の製薬企業が製造販売している8製品のプロモーションを行っている。この取り扱いについては、今後の製造販売元企業との調整になるとしている。
吉富薬品は2000年4月に、吉富製薬の精神科医薬品事業部、トミジェック吉富、エイパムの3社が統合して設立した。精神科領域に特化したプロモーション会社として精神疾患の治療薬を幅広く取り扱っており、全国の大学病院(精神科)、総合病院(精神科)、精神科病院、メンタルクリニックを対象に治療ニーズに応じた医療用医薬品の情報伝達と収集活動に取り組んでいる。