GSK 新規機序の骨髄線維症治療薬・モメロチニブを承認申請
公開日時 2023/09/12 04:51
グラクソ・スミスクラインは9月11日、骨髄線維症治療薬・モメロチニブを日本で承認申請したと発表した。現在、同剤が承認されている国はない。
モメロチニブはJAK1、JAK2の阻害に加え、アクチビンA受容体1型(ACVR1)阻害という3つ目の新規のシグナル伝達経路を阻害する独自の作用機序を持つ。JAK1及びJAK2を阻害することで全身症状や脾腫を改善できる可能性があり、さらにACVR1を阻害することにより、骨髄線維症で増加し貧血の要因となるヘプシジンを減少させるという。
骨髄線維症は、JAK-STATシグナルの伝達および調節異常により、体内での正常な血球の産生が妨害されることで起こる稀な血液がん。その臨床上の特徴は、進行性の脾腫(脾臓の肥大)、貧血、血液細胞の産生異常と、炎症性サイトカインの過剰産生による消耗性の症状となる。日本では約70%の骨髄線維症患者が診断時にすでに中等度から重度の貧血をきたしており、最終的にはほぼすべての患者が貧血を発症すると考えられている。貧血の重症度や輸血への依存性は、予後不良や生存期間の短縮と強く関連している。
今回の申請は、主要な第3相臨床試験であるSIMPLIFY-1試験とMOMENTUM試験の結果に基づく。SIMPLIFY-1試験は、JAK阻害薬による治療歴のない骨髄線維症患者を対象に、モメロチニブとルキソリチニブを比較した第3相国際共同無作為化二重盲検試験。主要評価項目である脾臓縮小割合(35%以上の縮小)に基づくモメロチニブのルキソリチニブに対する非劣性が示されたのに加え、輸血非依存割合はモメロチニブによる改善が確認された。
MOMENTUM試験は、既承認のJAK阻害薬による治療歴があり、症状及び貧血を有する骨髄線維症患者を対象に、モメロチニブとダナゾールを比較した第3相国際共同無作為化二重盲検試験。全身症状の改善、脾臓の縮小、輸血非依存割合に関して、主要評価項目および主要な副次評価項目をすべて達成した。