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中医協で支払側・松本委員 長期収載品の自己負担のあり方「社保審医療保険部会で制度的な議論を」

公開日時 2023/08/03 05:00
中医協支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は8月2日の中医協薬価専門部会で、長期収載品の自己負担のあり方について「社会保障審議会医療保険部会において、給付と負担のあり方について、制度的な議論を進めていくべき」と述べ、具体的な議論に着手することを求めた。長期収載品の自己負担のあり方をめぐっては、政府が6月に閣議決定した骨太方針に「長期収載品等の自己負担のあり方の見直し」が盛り込まれている。支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)も、「医薬品の安定供給の確保や企業の創薬力の強化に向けて、骨太方針に掲げられた長期収載品の自己負担のあり方について、制度的な議論が必要不可欠だと考えている」と述べ、厚労省側に検討を求めた。

長期収載品をめぐっては、先発品の価格が特許期間終了後もあまり下がっていないことなどを踏まえて、ZやZ2が導入。さらに、2016年の薬価制度抜本改革に向けた基本方針で、「我が国の製薬産業について、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換する」ことが盛り込まれ、18年度改定で長期収載品の薬価引下げルールとしてG1・G2ルールを導入し、長期収載品は後発品の置き換え率と後発品との価格差を基に、通常の市場実勢価格以上のルールで調整されている。一方で、依然として後発品への置き換えが十分に進んでいるとは言い難い状況にある。

この日の中医協に厚労省は、「我が国の製薬産業について、長期収載品に依存するモデルから、より高い創薬力を持つ産業構造に転換する方針の中で、長期収載品から後発品への置換えを迅速に進める観点から、長期収載品の薬価のあり方について、どのように考えるか」との論点を示した。

支払側の松本委員は、製薬業界が特許切れ後、速やかに後発品に市場を譲ると主張していることを引き合いに、「新薬創出等加算の累積額控除のタイミングを考えるべきであり、置き換え期間を終えた後には、なるべく早期に長期収載品と後発品の価格差がなくなるようにG1、G2ルールの運用を見直すべきだということを指摘させていただく」と述べた。

そのうえで、骨太方針に「長期収載品等の自己負担のあり方の見直し」が明記されていることに触れ、「後発品の使用が当たり前になり、負担のあり方について議論できる状況にもなってきていると感じている。もちろん患者の事情には配慮する必要があるが、医療保険財政の持続可能性の観点からも、薬剤負担のあり方にメリハリを効かせていくことが極めて重要であり、社会保障審議会医療保険部会において、給付と負担のあり方について、制度的な議論を進めていくべきだ」と述べた。支払側の安藤委員も、「当協会としても、医薬品の安定供給の確保や企業の創薬力の強化に向けて、骨太方針に掲げられた長期収載品の自己負担のあり方について、制度的な議論が必要不可欠であると考えている。厚労省は、ぜひ前向きに検討いただきたい」と要請した。

◎診療側・長島委員 AGで「先発企業は適切な判断すべきでは」 長収品のさらなる引下げ加速も提案

このほか、オーソライズド・ジェネリック(AG)について問題視する声もあがった。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「後発品は国が先発品と品質、有効性、安全性が同等であると認めているはずであり、これらの点から、後発品のある長期収載品は、後発品に道を譲ることが必要だ。特に、AGと称した後発品がある場合、先発企業は適切な判断をするべきではないか」と述べた。また、「2年に1度の薬価改定時において、長期収載品の(薬価の)引き下げをこれまで以上に拡大することで、産業構造の転換を加速していくことも考えられる」とも述べた。

一方で、供給不安が起きている現状にも触れ、「品目によっては長期収載品に頼らざるを得ない現状がある」として、安定供給の観点から医療に貢献している長期収載品の品目などを事務局に整理することも求めた。


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