中外製薬 バイオ医薬品製造設備に500億円超投資 生産基盤強化で高速上市へ
公開日時 2023/05/31 04:50
中外製薬は5月30日、バイオ医薬品製造設備に、新たに500 億円超を投資すると発表した。グループ会社である中外製薬工業の宇都宮工場内に、バイオ原薬製造棟、および注射剤棟を新設する。連続生産やロボティクスなど最新の技術の活用で、生産性を向上させたい考え。臨床開発から初期商用生産まで自社一貫でバイオ原薬を生産する基盤を強化することで、上市をさらに加速させる狙いがある。
新設するバイオ原薬製造棟は第1相、第2相臨床試験用を含む中期段階以降の治験薬製造、および初期商用のバイオ原薬製造を担う。連続生産機能も実装する。浮間事業所内にも初期開発用治験薬製造を担うバイオ原薬製造棟を建設中で、既存製造棟とあわせて、臨床開発から初期生産までの一貫した自社供給基盤を強化。これにより、自社創製品の高速上市に貢献するとしている。
新設する注射剤棟は初期商用の無菌注射剤製造を担う。新たな製剤技術を導入し、当社独自の抗体エンジニアリング技術を適用した、複雑な構造を持つ抗体の製剤化に対応するとしている。さらに、ロボティクスの活用で、対応した多品種少量生産を可能にするとともに、高度な自動運転・デジタル技術の活用により生産性を大幅に向上したスマートファクトリーの実現を目指す考え。
同社の奥田修代表取締役社長CEOは、バイオ医薬品は分子の構造が複雑化して製造難度が上昇していると説明。「難度の高いプロジェクトに対応し、臨床開発段階から初期商用生産に至るまで生産を内製できる技術・キャパシティの確保は、自社創製品の開発においてスピードとフレキシビリティをもたらし、大きな競争優位性の獲得につながる」としている。また、新たに建設する設備は環境に配慮するなどサステナビリティを追求するほか、デジタル・ロボティクスの活用により「生産性を飛躍的に向上させる」と説明。「ヘルスケア産業のトップイノベーターに相応しい世界水準の製薬・生産機能の実現を目指す」とコメントを寄せている。