レオ ファーマ アドトラーザの発売時期 「5月予定」から「未定」に 製造工程で異物発見
公開日時 2023/04/13 04:52
レオ ファーマは4月13日までに、アトピー性皮膚炎治療薬・アドトラーザ皮下注の発売延期を決定し、医療関係者への案内を始めた。同社は本誌取材に、「製造工程における品質管理の目視確認で異物が発見された」ことを明らかにした上で、「GMPに則り調査を行うと同時に、慎重を期すため発売を延期する」と述べた。同社はアドトラーザの3月15日の薬価収載時に本誌に「5月発売予定」と説明していたが、今回、「発売予定時期は未定」と修正した。
◎製造場所は海外 日本市場向け製品に異物
同社は、「現在、製品供給を含めた複数のパートナーと協力しながら、品質基準を満たす製品を速やかに準備中だが、当初の予定よりも時間を要することが予見され、現時点では明確な発売日の案内はできない状況」だとしている。ただ、「当社は患者さんの安全を最優先とし、できるだけ早く患者さんにアドトラーザをお届けできるように尽力する」ともコメントした。今回の事案は規制当局にも報告済みで、「当局とは定期的なコンタクトをとっている」ことも明らかにした。
異物の内容や混入経緯といった詳細は「非開示」。ただ、製造場所は海外工場で、日本市場向け製品の目視確認において異物が見つかったと説明した。
◎社員への説明で「誤解が生じてしまった」
社内の関係者によると、同社は3月30日に全社員を対象とした緊急会議を開催し、今回の異物混入や発売延期に係る経緯を説明した。デンマーク本社の経営陣も参加。この席上で「2ロットで異物混入があった」との報告があったようだ。
アドトラーザは2022年12月23日付で承認され、今年3月15日付で薬価収載されて発売準備に差し掛かっていたことから、現場MRは口座開設に動いていたとみられる。この社内関係者は、「異物混入が続いた事実を社員に隠蔽し、あたかもウクライナ情勢が発売の遅れの主な原因であるかのように矛先をずらした虚偽の情報提供活動を営業とメディカルの社員に行わせ」たとも指摘し、会社への不信感を募らせている。同社は本誌に寄せた回答の中で、「発売延期の理由を社内に説明する際、明確性を欠いたために誤解が生じてしまった」としたが、いつ、どのような誤解が生じてしまったのかは明らかにしなかった。
アドトラーザはアトピー性皮膚炎の徴候・症状の根底にある免疫学的機序に重要な役割を果たすIL-13サイトカインを特異的に中和する完全ヒトモノクローナル抗体。IL-13サイトカインに高い親和性で特異的に結合することにより、IL-13 受容体のα1およびα2サブユニット(IL-13 Rα1およびIL-13 Rα2)との相互作用を阻害する。初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与で用いる。
同社はアドトラーザの承認取得及び自社販売のため、22年に「2ケタ後半」の人数のMR体制を構築した。