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PhRMA 公定マージン・購入価償還など海外事例参考に薬価制度見直し 長期品薬価引下げ期間「短縮支持」

公開日時 2023/03/10 04:50
米国研究製薬工業協会(PhRMA)のシモーネ・トムセン在日執行委員会委員長は3月9日の記者会見で、「2024年度薬価制度改革への提言」を発表した。優先検討課題では、市場実勢価格に基づく薬価改定の見直しとして、公定マージン、購入価償還、薬価差クローバックなど海外事例を参考に日本に適合する制度を検討し、「できる限り早い時期に移行すべき」と強調した。一方で、改革実行の財政的措置として長期収載品の薬価引下げ期間の「短縮」を支持した。

「厚労省の有識者検討会が4月中にも取りまとめを行う。24年4月にはトリプル改定(診療報酬・薬価、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定)が予定されている。今年はターニングポイントになる。私たちの提言に方向転換しなければ、研究開発投資の(日本と世界との)ギャップはさらに広がるだろう」― トムセン委員長は会見で、こう指摘した。続けて、PhRMAの提言に沿う改革を行うことで日本市場の魅力はアップし、対日研究開発投資も回復し、「ドラッグ・ラグの悪化やドラッグ・ロスを防ぐことができる」と訴えた。

◎新薬の研究開発への再投資ができる薬価制度に

PhRMAの提言は、日本国内に強靭な創薬イノベーション・エコシステムを構築し、「新薬の研究開発への再投資」を、日本政府の薬価政策がそれを阻害しない環境に整備するというもの。これを実現する優先検討課題では、▽市場実勢価格に基づく薬価改定の見直し(特許期間中の新薬の薬価維持)、▽市場拡大再算定の見直し(同)、▽新薬算定ルールの見直し(新規収載時の価格設定)――の3点を挙げた。

市場実勢価に基づく薬価改定の見直しでは、「課題な薬価差や薬価差の偏在が生じない制度への移行を目指すべき」と指摘。海外の制度として公定マージン、購入価償還、薬価差クローバック―を列挙しながら、「日本に適する制度の検討を開始し、できる限り早い時期に移行するべき」とした。また、移行までの経過措置として、新薬創出等加算の品目要件や企業要件の見直しを行い、薬価を維持し得る品目を拡大するべきとも指摘した。

◎市場拡大再算定 類似薬への適用(とも連れ)ルールの廃止を

市場拡大再算定については、類似薬への適用(とも連れ)ルールの廃止や、有用性が高い効能を追加した場合等に引下げ率を緩和するルールの導入、引き下げ率や適用回数の上限設定を求めた。

新薬算定ルールの見直しに関しては、原価計算方式において原価開示が困難な場合に「いかに革新的であっても加算が取得できない」との課題があるとして、「現行の基準を見直し、類似薬の選定対象を拡大し、結果として原価計算方式の使用を減少させる」ことを提案した。また、▽多様な価値を評価するための有用性系加算の要件の拡充、▽現在は新規収載時にのみ適用される外国平均価格による引上げ調整を、収載時に外国価格がない場合は、収載後に調整可能とする仕組み―の導入も求めた。

◎長期収載品の薬価引下げ期間を短縮 「この方向の議論に反対しない」

このほか、改革実行の財政的措置として、▽バイオシミラー・後発品の使用促進、▽長期収載品の薬価引下げ期間短縮、▽デジタルテクノロジーを活用した重複投薬・多剤投与の適正化―の3つを挙げ、いずれも「支持」するとした。

このうち長期収載品の薬価引下げは、後発品登場から最初の5年間は置換え期間、その後の5年間はZ2ルールということで後発品シェアに応じて長期収載品の薬価の追加引き下げを実施。さらに次の5年間はG1/G2ルールが適用されて約10年かけて後発品の薬価水準まで引き下げている。

PhRMA薬価委員会の笹林幹生委員長は会見で、「長期収載品の薬価引下げ期間を全体的に短縮するのか、G1/G2ルールなどの発動を早めるのかなど選択肢はいくつかある」とした上で、主旨としては、「どのような方法が良いというところまでは考えていないが、この方向で議論することにPhRMAは反対しないということ」と説明した。
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