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JEMA・松森代表 原薬ダブルソースで承認も「実際には一本足打法」 シングルソースでの安定供給検討も

公開日時 2022/12/14 04:50
日本エスタブリッシュ医薬品研究協議会(JEMA)は12月13日、「ジェネリック医薬品の供給状況改善に関する提言」の第2弾を公表した。医薬品の安定供給をめぐり、原薬確保のダブルソース化の重要性が指摘されるところだが、JEMAの松森浩士代表(武田テバファーマ社長兼CEO)は、ダブルソースで承認を取得しても、「実際には一本足打法」と述べ、事実上シングルソースである実態を説明した。「何でもダブルソースだと言えば安心だということは言えないと思っている。シングルソースできちっとやることをそろそろきっちり考えていきたい」と述べた。製剤や原薬の規格、試験方法が欧米よりもハードルが厳しいとして、国際的ハーモナイゼーションの必要性を強調した。

原薬のダブルソースは安定供給をめぐり、厚労省からも重要性が指摘されており、医療現場が作成するフォーミュラリの要件に含まれるケースも多い。松森代表は、「ダブルソース自体がどういう実態か我々にはわかるが、医療現場の方にはわからない」として、ジェネリックメーカーにおけるダブルソースの実態を明らかにした。

◎セカンドソースは実態としてバックアップサイト 欠品時には「ほとんど役に立たない」

松森代表は、原薬のダブルソース化について、ダブルソースとして承認を取得しても、実際はコストなどの観点から「一本足打法で、1社に絞ってお付き合いしている」と説明した。
セカンドソースは実態としてバックアップサイトとなっているが、恒常的な取引がない場合、品質の取り決め締結や実地での調査を拒否される場合があり、承認書記載の製造所としての維持管理が難しいとした。実際に、欠品や出荷調整など不測の事態に際しても、「もう一つの原薬ソースを動かすのはゆうに半年、1年もっとかかる。欠品を起こすときにダブルソースしていてもほとんど役に立たない」との見解を示した。唯一、ダブルソースのメリットが発揮されるケースとして、海外での原薬工場が閉鎖されるケースをあげた。

◎日本の原薬欧米よりも規格が厳しく 国際ハーモナイゼーション推進を

松森代表は、「医療現場の方が安定供給の問題の時にダブルソースの方が安定供給されると思われがちだが、何か問題が起きて1社の原薬のソースに切り替えて直ちに切り替えて生産も間に合って欠品や出荷調整を免れることはほとんどない」、「医療現場の皆さんが想像している何か物が起きたときにダブルソースしているから安心だという話はほとんど役に立たない」として、ダブルソースありきの議論を牽制した

松森代表は、定期的な海外原薬メーカーの実地監査のリソース、コストが膨大になることにも問題意識を表明。「(ダブルソースは)ほとんどのメーカーがやっていない。ほとんどが一本足打法、現実的、経済的にも現状に合っているとすれば、シングルソースでいかに安定して原薬を入れていくかということを考えていかなければならない」と強調した。

日本は欧米に比べて、製剤および原薬に関する規格が厳しく、追加の試験が必要なケースがあり、コストが増加することが少なからずあると説明。原薬の確保に際しても、「ジャパンスペシャルのもので厳しいものを追うほど選択肢が少なくなる」とした。ハーモナイゼーションを進めることで、「いざというときはいくつかの候補も見つけやすい」と述べた。抗菌剤の原薬では国産化の取り組みも始まっているが、コスト面の課題も指摘。インドなど第三国との提携なども提案した。

◎武田テバファーマではダブルソースが36% うちアクティブは29%

なお、武田テバファーマではダブルソースが36%で、このうち、アクティブな状況なのは29%にとどまっていることも説明した。アクティブではない理由としては、終売(59%)、相手都合による利用不可(23%)、調達実績がない(18%)。ただ、シングルソースは64%にのぼるが、このうち、AGが64%を占めているとして理解を求めた。

提言は、ジェネリック医薬品の48.3%、中間体を含めて7割が海外輸入に依存していることを踏まえたもので、副題は「主に海外から輸入する原薬にかかわる諸問題の解消による、安定供給体制の強靭化」。原薬の規格が欧米に比べて日本では厳格であるケースが多いと説明。追加の手間がかかるうえに、欧米に比べて注文数量が少ない日本向けの取引の優先順位が低くなりがちで、緊急な増産などの要望がタイムリーに反映されない場合が多いとしている。こうした状況を踏まえ、①製造及び原薬に関する規格及び試験方法の国際的ハーモナイゼーション、②現実的な原薬のシングルソースにおいて国全体で安定供給する仕組み、③海外原薬メーカーに対する実地監査に関する協業とノウハウの交換-が柱となっている。

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