田辺三菱製薬 GARDPと薬剤耐性菌に対する新規抗菌薬の創製で契約締結 5万化合物のライブラリを提供へ
公開日時 2022/11/25 04:50
田辺三菱製薬は11月24日、グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ(GARDP、本部・スイスジュネーブ)と薬剤耐性菌に対する新規抗菌薬創製に向けた契約を締結したと発表した。田辺三菱製薬の所有する化合物ライブラリ(5万化合物)をGARDPに提供するというもの。抗菌活性を評価するスクリーニングは韓国パスツール研究所が実施する。今回の契約を通じて同社は、薬剤耐性菌による重篤な細菌感染症に取り組むGARDPの取り組みを支援する考え。
GARDPは、薬剤耐性感染症の新規治療薬を開発する非営利団体。入院中の成人や子供の感染症、新生児の敗血症、性感染症に焦点を当て、薬剤耐性感染症を克服するための新しい治療法を開発している。現在までに、オーストラリア、ドイツ、日本、ルクセンブルグ、モナコ、オランダ、南アフリカ、スイス、英国、さらに国境なき医師団、ウェルカム・トラスト、民間財団から資金提供を受けて活動している。一方、抗菌活性のスクリーニングを行う韓国パスツール研究所は2004年に設立された非営利の感染症研究機関。細胞レベルおよび画像を活用したスクリーニングプラットフォームを通じ、疾患のメカニズムの解明や新たな治療薬の開発を加速している。
◎田辺三菱製薬・縄野創薬本部長「新たな疾患の研究に協力出来ることは大変喜ばしい」
田辺三菱製薬の縄野雅夫創薬本部長は、「マラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)であるシャーガス病・リーシュマニア症を対象としたスクリーニングに自社化合物ライブラリを提供し、得られたヒット化合物に基づき創薬共同研究を実施するなど、グローバルヘルスに取り組んできた」と強調。「さらに新たな疾患の研究に協力出来ることを大変喜ばしく感じている」とコメントした。
GARDPのローラ・ピドック教授(サイエンティフィック・ディレクター)は、「これまで抗菌活性についてスクリーニングされたことのない田辺三菱の化合物ライブラリにアクセスできることは大変な栄誉。韓国パスツール研究所と確立したハイスループットスクリーニング手法により、この好機を生かす体制は整っている」と強調した。