中医協総会は11月9日、16成分20品目の薬価収載を了承した。収載日は11月16日。乾癬治療薬・ソーティクツ錠(ブリストル マイヤーズ スクイブ)や、重症・難治性気管支喘息治療薬・テゼスパイア皮下注(アストラゼネカ)など新規作用機序の医薬品が多く収載される。
ピーク時売上が100億円以上と予測されたのは5製品。▽クローン病治療薬・スキリージ皮下注360mgオートドーザー(アッヴィ、ピーク時売上予想324億円)、▽ソーティクツ錠(BMS、225億円)、▽骨粗鬆症治療薬・オスタバロ皮下注(帝人ファーマ、207億円)、▽テゼスパイア皮下注(AZ、145億円)、▽トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー(TTR-FAP)治療薬・アムヴトラ皮下注(Alnylam Japan、117億円)、▽重症・難治性気管支喘息治療薬・テゼスパイア皮下注(アストラゼネカ、145億円)――。
◎フィンテプラ 外国平均価格調整で倍に引上げ 支払側・松本委員「日本にも価格調整の仕組みが」
抗てんかん薬・フィンテプラ内用液(ユーシービージャパン)は、有用性加算(I)と市場性加算(I)を取得したうえに、外国平均価格調整により、調整前の703.80円から1407.60円に引きあがった。支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、革新的新薬の薬価が日本で欧米に比べて低いとの指摘があることに触れ、外国平均価格調整の意義を指摘。「どの国が最も正しく医薬品の価値を正しく評価しているかということについては判断としてはより難しいということもある。日本の薬価制度にも価格調整の仕組みがあるということはぜひご理解いただきたきたい」と述べた。
このほか、処方制限が28日に延長されたコセルゴカプセルについて、診療側の有澤賢二委員(日本薬剤師会理事)は、包装単位が28カプセル入りボトル1規格のみであることから、「調剤において医薬品が無駄にならないような、取り扱いが必要だ。薬剤費の保険請求などの観点も含め、現場での運用に何かしらの齟齬が生じないよう、この特例的な取り扱いについては、本剤を取り扱う関係者への周知を含め、お願いしたい」と要望。厚労省保険局医療課の安川孝志薬剤管理官は、「処方日数と調剤できるボトル単位の関係性の情報を現場で周知し、薬局で実際に調剤する際に困らないような配慮は必要かと思う。企業の方にも伝達して、周知が行き届くようにできればと考えている」と応じた。
◎GIP/GLP-1受容体作動薬・マンジャロ、鉄欠乏性貧血薬・モノヴァーの収載なく
9月26日付で承認された2型糖尿病に用いるGIP/GLP-1受容体作動薬・マンジャロ皮下注(日本イーライリリー)は薬価収載されなかった
(詳細記事はこちら)。また、3月28日付で承認された鉄欠乏性貧血治療薬・モノヴァー静注(日本新薬)も5月、8月に続き3回連続でスキップ。メトトレキサート排泄遅延時の解毒に用いるメグルダーゼ静注用(大原薬品)は21年11月、22年4月、5月、8月、11月と5回連続のスキップとなった。
11月16日付で収載される製品は以下のとおり(カッコ内は成分名と薬価収載希望会社)
▽
フィンテプラ内用液2.2mg/mL(フェンフルラミン塩酸塩、ユーシービージャパン)
薬効分類:113 抗てんかん剤(内用薬)
効能・効果:他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないDravet 症候群患者におけるてんかん発作に対する抗てんかん薬との併用療法
薬価:0.22%1mL 1407.60円(1日薬価:1万5295.00円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数539人、販売金額30億円
加算:
有用性加算(I)(A=35%):「本剤はセロトニン受容体アゴニスト作用を有する新規作用機序医薬品であり、臨床上の有用性が評価されている。また、臨床試験において、既存治療で十分な効果が認められない患者を対象に、プラセボ群(既存治療のみ)に対する本剤群(既存治療+本剤)の優越性が検証され、安全性は許容可能と判断されている。以上より、有用性加算(I)(A=35%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:なし
セロトニン作動薬として5-HT1D、5-HT2A、5-HT2C受容体に対するアゴニスト活性を示すセロトニンを強力に放出し、また、シグマ-1受容体のポジティブモジュレーターとして作用し発作を抑制する二重活性を有する。ドラベ症候群は、生涯継続する重度の希少てんかんの一種。
同剤は通常、成人及び2歳以上の小児には、フェンフルラミンとして1日0.2mg/kgを1日2回に分けて経口投与で用いるが、1日の最大用量などはスチリペントールの併用有無で異なる。スチリペントールを併用する場合は、「症状により1日0.4mg/kgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。また、1日用量は17mgを超えないこと」となる。併用しない場合は、「症状により1日0.7mg/kgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこと。また、1日用量は26mgを超えないこと」となる。
▽
リバゼブ配合錠LD、同HD(ピタバスタチンカルシウム水和物/エゼチミブ、興和)
薬効分類:218 高脂血症用剤(内用薬)
効能・効果:高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
薬価:
リバゼブ配合錠LD 1錠87.80円(1日薬価:87.80円)
リバゼブ配合錠HD 1錠116.00円 市場予測(ピーク時10年後):投与患者数13万人、販売金額43億円
加算:なし
新薬創出等加算:なし
費用対効果評価:なし
スタチン製剤・ピタバスタチンカルシウム水和物と、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬・エゼチミブとの作用機序の異なる高脂血症治療薬の配合剤。1日1回1錠を食後に経口投与して用いる。14日間ルールの処方制限は設けない。
▽
ソーティクツ錠6mg(デュークラバシチニブ、ブリストル マイヤーズ スクイブ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
薬価:6mg1錠2770.90円(1日薬価:2770.90円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数3.1万人、販売金額225億円
加算:有用性加算(I)(A=40%):「本剤はTYK2阻害作用を有する新規作用機序医薬品であり、ランダム化比較試験において、比較薬に対し有意な改善を示したことから、有用性加算(I)(A=40%)を適用することが適当と判断した」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当する(H1)
経口TYK2阻害薬。TYK2は、細胞外からの刺激シグナルを細胞内に伝達するために働くリン酸化酵素群の一つであるJAKファミリーの分子。乾癬を含む自己免疫疾患の病態に寄与するインターロイキン(IL)-12、IL-23、I型インターフェロンなどの炎症性サイトカインの受容体に結合して下流にシグナルを伝達する役割を担っている。同剤はこれらのTYK2に依存するシグナル伝達経路を阻害し、効果を発揮する。
用法・用量は「通常、成人には1回6mgを1日1回経口投与する」で、用量の漸増・調節が不要。
▽
リンヴォック錠45mg(ウパダシチニブ水和物、アッヴィ)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(内用薬)
効能・効果:中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:45mg1錠9677.60円(1日薬価:9677.60円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.8千人、販売金額19億円
加算:なし
新薬創出等加算:なし
費用対効果評価:なし
JAK阻害薬。潰瘍性大腸炎の用法・用量は、導入期は通常、成人に対してウパダシチニブとして45mgを1日1回8週間経口投与するが、効果不十分な場合はさらに8週間投与できる。
▽
エザルミア錠50mg、同錠100mg(バレメトスタットトシル酸塩、第一三共)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫
薬価:
50mg1錠6267.70円
100mg1錠 1万2017.00円(1日薬価:2万4034.00円)
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数101人、販売金額5.5億円
加算:有用性加算(II)(A=5%):「本剤はEZH1/2阻害作用を有する新規作用機序医薬品であり、主要評価項目として、一定の奏功率を示している等の臨床上の有用性が一定程度評価されていると考えられることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:なし
EZH1/2阻害薬。EZH1及びEZH2は多くの血液がんで発現しているヒストンメチル化酵素。がん抑制遺伝子の不活性化に関係している。同剤はエピジェネティクス(DNA配列の変化を伴わない遺伝子発現変化を誘導する分子メカニズム)領域の低分子医薬品。EZH1/2のメチル化活性を阻害することで、アポトーシスを誘導すること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
▽
コセルゴカプセル10mg、同25mg(セルメチニブ硫酸塩、アレクシオンファーマ)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬)
効能・効果:神経線維腫症1型における叢状神経線維腫
薬価:
10mg1カプセル1万2622.80円(1日薬価:7万940.10円)
25mg1カプセル3万257.80円 市場予測(ピーク時4年後):投与患者数232人、販売金額57億円
加算:
有用性加算(II)(A=10%):「本剤は神経線維腫症I型における叢状神経線維腫のうち、手術不能なものを対象疾患としており、当該疾患の治療法が確立していないこと等から、有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」
小児加算(A=10%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組み入れ数、観察期間等を踏まえ、加算率は10%が妥当である」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:なし
MEK1/2阻害薬。腫瘍の増殖を促していると思われるRAS/MAPKのシグナル伝達経路におけるMEK酵素を阻害する。国の指定難病の神経線維腫症1型(NF1)は3000~4000人に1人が罹患する遺伝性疾患。
処方制限は14日間ではなく、例外的に28日に延長する。包装単位が28カプセル入りのボトルで、吸湿性等の製剤の特性上、PTP等の1カプセルごとの包装が技術的に不可能であることから、ボトルのまま患者に渡すこととなる。しかし、用法・用量上、減量が必要となる患者では14日間で1ボトル使い切ることができないため。なお、安全性については、国内第1相試験で、減量に至った患者を含む全ての患者に対して14日間を超える投薬が行われ、許容可能とされている。
▽
アムヴトラ皮下注25mgシリンジ(ブトリシランナトリウム、Alnylam Japan)
薬効分類:129 その他の末梢神経系用薬(注射薬)
効能・効果:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー
薬価:25mg0.5mL1筒781万923円(1日薬価:8万5599円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数376人、販売金額117億円
加算:有用性加算(II)(A=5%):「比較薬パチシランの投与間隔は3週間に1回の70分以上かけて投与する点滴静注であるのに対し、本剤の投与間隔は3か月に1回の皮下注射であることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:なし
RNAi治療薬。同疾患を適応とする同社の既承認のRNAi治療薬・オンパットロは通常、3週間に1回の点滴静注で使用するが、同剤は3カ月に1回の皮下投与で用いる。遺伝性トランスサイレチン(ATTR)アミロイドーシスは、指定難病である全身性アミロイドーシスの一種で、トランスサイレチン遺伝子(TTR)の遺伝子変異に起因する常染色体優性遺伝疾患。
▽
テゼスパイア皮下注210mgシリンジ(テゼペルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ)
薬効分類:229 その他の呼吸器官用薬(注射薬)
効能・効果:気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)
薬価:210mg1.91mL1筒17万6253円(1日薬価:6295円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.2万人、販売金額145億円
加算:
有用性加算(II)(A=5%):「本剤は新規作用機序であるTSLP阻害作用を有していること、臨床試験において非2型炎症患者に対しても効果が認められ、比較薬で注意喚起がなされている非2型炎症性患者に対して本剤は注意喚起はなされていないことから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
小児加算(A=5%):「本剤は小児に係る用法・用量が明示されていること等から、加算の要件に該当する。日本人の試験組み入れ数等を踏まえ、加算率は5%が妥当である」
新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:該当する(H1)
抗TSLP抗体薬。複数の炎症カスケードの上流で主要な上皮細胞サイトカインであり、重症喘息に伴うアレルギー性、好酸球性、他のタイプの気道炎症の発現および持続に不可欠なTSLPの作用を阻害する。用法・用量は「通常、成人及び12歳以上の小児には1回210mgを4週間隔で皮下に注射する」。
▽
オスタバロ皮下注カートリッジ1.5mg(アバロパラチド酢酸塩、帝人ファーマ)
薬効分類:243 甲状腺、副甲状腺ホルモン剤(注射薬)
効能・効果:骨折の危険性の高い骨粗鬆症
薬価:1.5mg0.75mL1筒 1万6128円(1日薬価:1152円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数6.4万人、販売金額207億円
加算なし
新薬創出等加算:なし
費用対効果評価:なし
新規の副甲状腺ホルモン(PTH)製剤。有効成分のアバロパラチドは、細かく分類すると、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)の誘導体で、Gタンパク質が結合した副甲状腺ホルモン1型受容体を選択的に刺激することで骨形成を促進する。用法・用量は通常、成人には1日1回、アバロパラチドとして80μgを皮下注射して用いるが、投与期間は最大18か月までとすること」。
21年3月に3mg製剤の承認を取得したが、当時、「新医薬品の処方日数制限に対応する製剤を開発中」との理由で3mg製剤の薬価収載手続きは行わなかった。今回の1.5mg製剤は処方日数制限に対応できる規格となる。
▽
カブリビ注射用10mg(カプラシズマブ(遺伝子組換え)、サノフィ)
薬効分類:339 その他の血液・体液用薬(注射薬) 効能・効果:後天性血栓性血小板減少性紫斑病
薬価:10mg1瓶(溶解液付) 51万5532円
市場予測(ピーク時6年後):投与患者数339人、販売金額63億円
加算:
有用性加算(II)(A=10%):「本剤は、vWFのA1ドメインに特異的に結合し、vWFと血小板の結合を阻害することで、血栓形成を抑制する作用を有する新規作用機序の薬剤であることから、有用性加算(II)(A=10%)を適用することが適当と判断した」
市場性加算(I)(A=10%):「本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、加算の要件を満たす」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。
新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:なし
止血に関わるたんぱく質であるフォン・ヴィレブランド因子(VWF)を標的とする抗VWFナノボディで、VWFと血小板との相互作用を阻害する。
▽
スキリージ点滴静注600mg(リサンキズマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ)
薬効分類:399 その他の代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:中等症から重症の活動期クローン病の寛解導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:600mg10mL1瓶 19万2321円(1日薬価:6869円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数2.3千人、販売金額15億円
加算なし
新薬創出等加算:なし
費用対効果評価:なし
ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体。クローン病に対して、点滴静注製剤は通常、成人にはリサンキズマブとして600mgを4週間隔で3回(初回、4週、8週)点滴静注するが、リサンキズマブの皮下注製剤による維持療法開始16週以降に効果が減弱した場合、1200mgを単回点滴静注することができる。
▽
スキリージ皮下注360mgオートドーザー(リサンキズマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ)
薬効分類:399 その他の代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:中等症から重症の活動期クローン病の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:360mg2.4mL1キット 50万8169円(1日薬価:9074円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数10.2千人、販売金額324億円
加算なし
新薬創出等加算:なし
費用対効果評価:なし
ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体。クローン病に対して皮下注製剤は、点滴静注製剤による導入療法終了4週後から、通常、成人にはリサンキズマブとして360mgを8週間隔で皮下投与して用いる。
▽
スペビゴ点滴静注450mg(スペソリマブ(遺伝子組換え)、日本ベーリンガーインゲルハイム)
薬効分類:399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:膿疱性乾癬における急性症状の改善
薬価:450mg7.5mL1瓶 96万3821円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.6千人、販売金額32億円
加算:有用性加算(II)(A=5%):「膿疱性乾癬の発症に関与することが知られているIL‐36シグナル伝達経路を直接の標的とする新規作用機序の薬剤であることから、有用性加算(II)(A=5%)を適用することが適当と判断した」
なお、製造原価開示度50%未満のため、加算係数はゼロ。
新薬創出等加算:該当する(主な理由:加算適用)
費用対効果評価:なし
膿疱性乾癬(GPP)を含む複数の自己炎症性疾患の病因に関連している免疫系のシグナル伝達経路のインターロイキン36受容体の作用を阻害する、ファーストインクラスの抗IL-36Rモノクローナル抗体。
GPPは乾癬の一病型とされており、広範囲にわたる無菌性膿疱を特徴とする好中球性の炎症性皮膚疾患。尋常性乾癬とは臨床的に区別される。GPPの急性症状により入院した患者の死亡率は2.5%と推定されている。国内ガイドラインでは、GPP の急性症状に対して、エトレチナート、シクロスポリン、メトトレキサート(MTX)、インフリキシマブ等の生物製剤及び顆粒球単球吸着除去療法が推奨されている。
▽
ナノゾラ皮下注30mgシリンジ(オゾラリズマブ(遺伝子組換え)、大正製薬)
薬効分類399 他に分類されない代謝性医薬品(注射薬)
効能・効果:既存治療で効果不十分な関節リウマチ
薬価:30mg0.375mL1筒 11万2476円(1日薬価:4017円) 市場予測(9年後):投与患者数6.8千人、販売金額91億円
加算なし
新薬創出等加算:なし
費用対効果評価:なし
2つの抗TNFαナノボディと抗血清アルブミンナノボディが融合した三量体構造のヒト化低分子抗体(抗TNFαナノボディ製剤)。一般的なIgG抗体と比較して約1/4程度の分子量を有している。2つの結合部位でTNFαに結合することで、その作用を強力に阻害する。血中滞留性の良い血清アルブミンと相互作用することで血中半減期を延長させた。通常、成人には1回30mgを4週間の間隔で皮下投与して用いる。
▽
メンクアッドフィ筋注(4価髄膜炎菌ワクチン(破傷風トキソイド結合体)、サノフィ)
薬効分類:631 ワクチン類(注射薬) 効能・効果:髄膜炎菌(血清群A、C、W及びY)による侵襲性髄膜炎菌感染症の予防
薬価:0.5mL1瓶 2万194円(1日薬価:2万194円)
市場予測(ピーク時3年後):投与患者数281人、販売金額0.06億円
加算なし
新薬創出等加算:なし
費用対効果評価:なし
同社の4価髄膜炎菌ワクチン・メナクトラ筋注の後継品。メナクトラがジフテリア毒素結合型ワクチンなのに対し、メンクアッドフィは破傷風トキソイド結合体ワクチンであり、製剤上の違いがある。
▽
ベリナート皮下注用2000(人C1-インアクチベーター、CSLベーリング)
薬効分類:634 血液製剤類(注射薬)
効能・効果:遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制
薬価:2000国際単位1瓶(溶解液付) 21万4788円(1日薬価:9万2052円)
市場予測(ピーク時4年後):投与患者数139人、販売金額50億円
加算なし
新薬創出等加算:該当する(主な理由:希少疾病用医薬品として指定)
費用対効果評価:なし
血漿分画製剤。既承認のベリナートP静注用500 と同一の有効成分(血漿由来のC1-INH)を含有する皮下注射剤。遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制(長期予防)に対する新投与経路医薬品。
▽
グラアルファ配合点眼液(リパスジル塩酸塩水和物/ブリモニジン酒石酸塩、興和)
薬効分類:131 眼科用剤(外用薬)
効能・効果:次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分な場合:緑内障、高眼圧症
薬価:1mL 515.00円(1日薬価:51.50円)
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数23万人、販売金額81億円
加算なし
新薬創出等加算:なし
費用対効果評価:なし
Rhoキナーゼ阻害薬のリパスジル塩酸塩水和物と、アドレナリンα2受容体作動薬のブリモニジン酒石酸塩を組み合わせた配合点眼薬。1日1滴、1日2回点眼で用いる。14日間の投薬日数制限はかからない。なお、リパスジルは現在、興和から緑内障、高眼圧症を効能・効果とする製品名・グラナテック点眼液0.4%として販売中。ブリモニジンを有効成分とする緑内障・高眼圧症治療薬も複数販売されている。