ジャカビ内用液小児用に迅速導入加算適用 報告品目・新キット製品の薬価収載で初の事例 20日収載へ
公開日時 2024/11/19 04:48
厚生労働省は11月19日、新剤形、新規格などの報告品目・新キット製品10成分10品目の薬価収載を官報告示した。20日に収載する。この中にはJAK阻害薬・ジャカビ内用液小児用0.5%があり、迅速導入加算(A=10%)と小児加算(A=5%)が適用され、薬価は1万2209円となった。同剤は12歳未満の小児の造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(GVHD)の治療薬。厚労省によると、5月、11月の報告品目・新キット製品の薬価収載で、迅速導入加算が適用されたのは同剤が初めてとなる。
同剤に迅速導入加算が適用された理由は、日本を含む国際共同試験で開発され、優先審査の対象であり、かつ国内申請日は欧州の2023年11月から半年以内の24年2月であり、承認日は日本が最も早かったため、同加算の要件を満たした。
◎初のアイリーアBSの収載なく
一方、6月に承認された国内初のアイリーアのバイオ後続品「アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL「GRP」」(製造販売元:グローバルレギュラトリーパートナーズ)は今回収載されなかった。厚労省によると、製造販売元から「(薬価収載の)申請がなかった」としている。
11月20日付で収載される報告品目・新キット製品は以下の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類及び投与経路順に記載。
▽イノソリッド配合経腸用半固形剤(-、イーエヌ大塚製薬)
薬効分類:内325
効能・効果:一般に、手術後患者の栄養保持に用いることができるが、特に長期にわたり、経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に使用する
薬価:10g 14.40円
加算:なし
▽ジャカビ内用液小児用0.5%(ルキソリチニブリン酸、ノバルティス ファーマ)
薬効分類:内399、内429
効能・効果:造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(ステロイド剤の投与で効果不十分な場合)
薬価:0.5%1mL 1万2209.00円
加算:小児加算(A=5%)、迅速導入加算(A=10%)
JAK阻害薬。ジャカビ内用液小児用の効能・効果は造血幹細胞移植後の移植片対宿主病(GVHD)のみ。6歳以上12歳未満と、6歳未満の小児のそれぞれで用法・用量が設定されている。なお、ジャカビの5mg錠及び10mg錠のGVHD適応で、6歳以上12歳未満の小児用量追加が9月に承認されたが、6歳未満の用法・用量は承認されていない。
▽タフィンラー小児用分散錠10mg(ダブラフェニブメシル酸塩、ノバルティスファーマ)
薬効分類:内429
効能・効果:標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)、BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫
薬価:10mg1錠 1225.90円
加算:小児加算(A=15%)
▽メキニスト小児用ドライシロップ4.7mg(トラメチニブジメチルスルホキシド付加物、ノバルティスファーマ)
薬効分類:内429
効能・効果:標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍(結腸・直腸癌を除く)、BRAF遺伝子変異を有する低悪性度神経膠腫
薬価:4.7mg1瓶 9万9852.00円
加算:小児加算(A=15%)
タフィンラーはBRAF阻害剤。メキニストはMEK阻害剤。固形腫瘍、低悪性度神経膠腫のいずれの適応でも両剤を併用して用いる。
▽ニンラーロカプセル0.5mg(イキサゾミブクエン酸エステル、武田薬品)
薬効分類:内429
効能・効果:多発性骨髄腫における維持療法
薬価:0.5mg1カプセル 2万4023.70円
加算:なし
経口プロテアソーム阻害薬。0.5mg製剤により、多発性骨髄腫の維持療法における新たな治療選択肢(1.5mg用量(0.5mgカプセル×3))を患者に提供できる。従来よりも低用量の用量調節が可能となることで患者の状態に合わせたより適切な用量調節の実現を目指すことができる。
▽クレセンバカプセル40mg(イサブコナゾニウム硫酸塩、旭化成ファーマ)
薬効分類:内617
効能・効果:(既承認の100mgカプセルと同様)
薬価:40mg1カプセル 2007.80円
加算:なし
深在性抗真菌症治療薬。40mg製剤は、既承認の同カプセル100mg製剤と同等の有効性と安全性が期待でき、カプセルの小型化により服用しやすくしている。
▽キドパレン輸液(-、大塚製薬工場)
薬効分類:注325
効能・効果:経口・経腸管栄養補給が不能又は不十分で、経中心静脈栄養に頼らざるを得ない慢性腎不全患者(高カリウム血症、高リン血症の患者又はそのおそれのある患者に限る)に対する水分、電解質、カロリー、アミノ酸、ビタミン補給
薬価:1050mL1キット 2269円
加算:なし
▽スキリージ皮下注180mgオートドーザー(リサンキズマブ(遺伝子組換え)、アッヴィ)
薬効分類:注399
効能・効果:中等症から重症の活動期クローン病の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)、中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)
薬価:180mg1.2mL1キット 25万9358円
ヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体。クローン病に対する維持療法では、リサンキズマブとして360mgを8週間隔の皮下投与で用いる。潰瘍性大腸炎に対する維持療法では、180mgを8週間隔で皮下投与するが、患者の状態に応じて360mgを8週間隔で投与することができる。
▽アドトラーザ皮下注300mgペン(トラロキヌマブ(遺伝子組換え)、レオ ファーマ)
薬効分類:注449
効能・効果:既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎
薬価:300mg2mL1キット 4万1859円
加算:なし
ヒト抗ヒトIL-13モノクローナル抗体。既存の150mgプレフィルドシリンジ製剤に対し300mgペン製剤(オートインジェクター製剤)は、注射回数を減らし、患者の負担を軽減すると共に、注射手技をより簡便にする必要があるために開発されたもの。24年4月に在宅自己注射が保険適用されている。
▽ヘムライブラ皮下注12mg(エミシズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬)
薬効分類:注634
効能・効果:先天性血友病A(先天性血液凝固第Ⅷ因子欠乏)患者における出血傾向の抑制、後天性血友病A患者における出血傾向の抑制
薬価:12mg0.4mL1瓶 13万1539円
加算:なし
抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体。既存の同皮下注30mg、60mg、90mg、105mg、150mgに規格追加されたもの。