持田製薬は11月４日、2023年３月期第２四半期決算を発表し、連結の売上高は前年同期比1.5％減、営業利益は13.9％減、親会社帰属純利益は20.2％減――と減収、２ケタ減益だった。22年４月の薬価改定で９％台のマイナス影響を受けたことや、本社ビルの建て替えに係る一時的な費用を計上したことが減収減益の主な理由となる。12月には抗うつ薬レクサプロに後発品が参入することが見込まれており、通期の減収減益幅はさらに大きくなる。

22年度上期の医薬品関連事業の売上は502億円で、前年同期比1.9％減だった。潰瘍性大腸炎治療薬リアルダ、慢性便秘症治療薬のグーフィス及びモビコール、痛風・高尿酸血症治療薬ユリスといった新薬群や後発品は増収としたが、高脂血症治療薬エパデールなど長期収載品の減収影響が大きかった。

後発品売上は135億円（前年同期比８％増）だった。ＡＧやバイオシミラー（ＢＳ）の製品別売上は、子宮内膜症治療薬ディナゲストのＡＧが36億円（17.8％増）、G-CSF製剤フィルグラスチムＢＳは５億円（25.4％減）、骨粗鬆症治療薬テリパラチドＢＳは24億円（15.9％増）、パートナー企業のあゆみ製薬が販売しているエタネルセプトＢＳは46億円（4.2％減、薬価ベース）、同アダリムマブＢＳは４億円（薬価ベース）――。

同社は、フィルグラスチムＢＳの販売を８～９月に中止し、パートナー企業の富士製薬の製品を代替品として案内している。同社はこの日の会見で、販売中止の理由について、「安定供給に支障を来たすことがないようにしないといけないということで十分検討した結果、富士製薬に一本化することにした」と述べ、販売戦略上の理由から販売中止を決めたと説明した。

◎レクサプロ　下期は56％減収予想、後発品登場で

通期予想は、売上1050億円（4.7％減）、営業利益85億円（40.9％減）、親会社帰属純利益64億円（39.4％減）と厳しい予想をたてている。

同社はレクサプロの売上について、22年度上期は79億円（６％減）、下期は36億円（56％減）に半減すると予想。通期売上は115億円（31％減）になるとしている。レクサプロの後発品が８月に９社22品目承認され、多くが12月中に登場する見通しで、持田製薬もこの影響を織り込んだとみられる。

持田製薬グループはレクサプロＡＧの承認を取得していない。今後、同ＡＧを投入する計画があるかどうかについて、「現時点で話せることはない」としたが、「ＡＧの販売は重要な検討課題。レクサプロに限らず、可能性のある製品は常に検討を行う」と述べた。

◎研究開発費16％増　厳しい業績でも「先々への投資は怠らず」

研究開発費は22年度に143億円（16％増）を投じる計画。同社は会見で、「業績は厳しい状況だが、先々への投資は怠らず、積極的に積み増していきたい」と強調した。

開発後期のプロジェクトは多く、トレプロスチニル（開発コード：MD-711）を肺動脈性肺高血圧症の適応で承認申請しているほか、国内第３相試験段階に、▽リアルダの潰瘍性大腸炎の小児適応▽レクサプロのうつ病・うつ状態の小児適応▽ファイザーと共同開発している抗うつ薬デスベンラファキシンコハク酸塩水和物（MD‐120）▽イドルシアと共同開発している不眠症薬ダリドレキサント塩酸塩（ACT-541468）▽富士薬品と共同開発しているユリスの痛風・高尿酸血症の小児適応――の５プロジェクトがある。トレプロスチニルは、間質性肺疾患に伴う肺高血圧症の適応でも国内第2/3相試験を実施中。また、海藻由来多糖類物質のアルギン酸ナトリウムを基盤とするプロジェクトも推進する。

【22年度上期の連結業績（前年同期比）　22年度予想（前年同期比）】
売上高　532億円（1.5％減）　1050億円（4.7％減）
営業利益　52億7900万円（13.9％減）　85億円（40.9％減）
親会社帰属純利益　39億2300万円（20.2％減）　64億円（39.4％減）

【22年度上期の国内主要製品売上高（前年同期実績）　22年度予想、億円】
リアルダ　67（62）　135
レクサプロ　79（85）　115
グーフィス　33（29）　75
エパデール　36（45）　67
モビコール　27（23）　53
ユリス　10（３）　34
アテレック　14（17）　29
トラムセット　15（18）　25
ドキシル　９（15）　14
トレプロスト　７（８）　14
ディナゲスト　12（16）　13
ヘパリンNa　６（７）　11
ベセルナ　５（５）　11
後発品　135（125）　291

＊レクサプロは自社販売と田辺三菱製薬への販売の合算
＊アテレックはアテディオを含む