ノボ ノルディスク インヒビター保有の先天性血友病治療薬・コンシズマブを承認申請
公開日時 2022/08/31 04:48
ノボ ノルディスク ファーマは8月29日、新規機序の先天性血友病治療薬・コンシズマブを日本で承認申請したと発表した。予定適応症は「血液凝固第VIII因子または第IX因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病患者における出血傾向の抑制」で、1日1回の皮下投与で用いる。コンシズマブは、TFPI(組織因子経路インヒビター)と呼ばれる血液凝固を阻止する体内のタンパク質を阻害するようにデザインされた抗TFPIモノクローナル抗体。TFPIを阻害することでトロンビンと呼ばれるタンパク質である血液凝固因子の産生を促進し、血液凝固を助け、出血を防ぐ。
同社は、「コンシズマブはTFPIに対する抗体であり、あらゆるタイプの血友病に対し、1日1回の皮下投与で出血を予防する(遷延する自然出血を予防するための定期的投与)薬剤として開発された」としている。
今回の申請は、4つの第1相試験、2つの第2相試験及び第3相試験(Explorer7)の結果に基づく。このうちExplorer7試験では、主要解析の結果、インヒビターを保有する血友病AまたはB患者において、出血予防を行わなかった群の年間出血回数11.8回に対し、コンシズマブ投与群は同1.7回であり、自然出血および外傷性出血が有意に減少したことが示された。安全性・忍容性プロファイルは「予測された範囲内であり、治験再開後に血栓塞栓症事象は報告されなかった」としている。
同社の杉井寛副社長(開発本部長)は、コンシズマブについて、「治療オプションが限られるインヒビターを保有する血友病患者さんに対する新しい治療の選択肢となる可能性があると期待している」とした上で、「ペン型プレフィルド製剤を用いた皮下投与により、静脈注射に伴う患者さんのストレスが軽減され、治療アドヒアランスの改善やQOLの向上に貢献できると考えている」とコメントした。
先天性血友病は、外傷性イベント後に止血に必要なプロセスである血液凝固能に異常が生じる希少疾患。先天性血友病AまたはBの患者は男性に多い。先天性血友病患者の中にはインヒビターを発生することがあり、インヒビターがあると補充療法の凝固因子が異物とみなされて免疫システムの反応が起こり、治療が効かなくなる。現在、先天性血友病A患者の30%、先天性血友病B患者の1~10%がインヒビターを保有していると推定されている。