オプジーボとキイトルーダ 重大な副作用に「重度の胃炎」を追記
公開日時 2022/06/15 04:49
厚生労働省医薬・生活衛生局は6月14日、がん免疫療法薬のオプジーボとキイトルーダについて、重大な副作用の項に「重度の胃炎」を追記するなどの添付文書改訂を指示した。「重度の胃炎」との因果関係が否定できない症例が、直近3年間にオプジーボで3例、キイトルーダでも3例確認されたことに伴う措置。異常が認めれた場合は、副腎皮質ホルモン剤を投与するなどの適切な処置を行うことも記載する。
このほか同省は、頭頸部がんに対する光免疫療法薬・アキャルックスについて、重大な副作用の項に「瘻孔、皮膚・粘膜の潰瘍又は壊死」を追記すること、新型コロナ治療薬のラゲブリオ及びパキロビッドの重大な副作用の項に「アナフィラキシー」を追記することなども指示した。
添付文書の改訂指示があった医薬品は次の通り。
▽オプジーボ点滴静注(一般名:ニボルマブ、製造販売元:小野薬品)
▽キイトルーダ点滴静注(同:ペムブロリズマブ、MSD)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬
指示概要:「重大な副作用」の項に「重度の胃炎」を追記する。
改訂理由:重度の胃炎関連の国内症例を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、ニボルマブ又はペムブロリズマブと重度の胃炎との因果関係の否定できない国内症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。また、今回認められた胃炎は、免疫反応に起因すると考えられることから、専門委員の意見も聴取した結果、胃炎発生後の処置内容についても注意喚起を行うことが適切と判断した。
直近3年間の国内報告数:オプジーボでは、事象(重度の胃炎)との因果関係が否定できない症例は3例、うち死亡0例。キイトルーダでは、事象(同)との因果関係が否定できない症例は3例、うち死亡0例。
▽アキャルックス点滴静注(同セツキシマブ サロタロカンナトリウム、楽天メディカル)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬
指示概要:「重要な基本的注意」の項に、本剤投与前に皮膚又は粘膜への腫瘍浸潤の有無を十分確認するとともに、本剤による治療中は患者の状態の観察や瘻孔、潰瘍、壊死の有無の確認を十分に行う旨を追記する。「特定の背景を有する患者に関する注意」の項に、「皮膚又は粘膜への腫瘍浸潤が認められる患者」を追記する。「重大な副作用」の項に、「瘻孔、皮膚・粘膜の潰瘍又は壊死」を追記する。
改訂理由:本剤とBioBladeレーザシステムを用いた治療後に瘻孔、皮膚潰瘍及び皮膚壊死を認めた国内及び海外症例を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、本治療と瘻孔等との因果関係の否定できない国内及び海外症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。また、粘膜にも潰瘍又は壊死が発生していることから、専門委員の意見も聴取した結果、粘膜潰瘍及び粘膜壊死についても注意喚起を行うことが適切と判断した。
直近3年間の報告数:国内では、医薬品と事象(瘻孔、皮膚・粘膜潰瘍、皮膚・粘膜壊死関連症例)との因果関係が否定できない症例は4例、うち死亡0例。海外では、事象(同)との因果関係が否定できない症例1例、うち死亡0例。
▽ラゲブリオカプセル(同モルヌピラビル、MSD)
薬効分類:625 抗ウイルス剤
指示概要:「重大な副作用」の項に、「アナフィラキシー」を追記する。
改訂理由:アナフィラキシー関連の国内及び海外症例を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、モルヌピラビルとアナフィラキシーとの因果関係が否定できない国内及び海外症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
直近3年間の報告数:国内では、医薬品と事象(アナフィラキシー関連症例)との因果関係が否定できない症例は2例、うち死亡0例。海外では、医薬品と事象(同)との因果関係が否定できない症例は1例、うち死亡0例。
▽パキロビッドパック(同ニルマトレルビル・リトナビル、ファイザー)
薬効分類:625 抗ウイルス剤
指示概要:「重大な副作用」の項に、「アナフィラキシー」を追記する。
改訂理由:アナフィラキシー関連の国内及び海外症例を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、ニルマトレルビル・リトナビルとアナフィラキシーとの因果関係が否定できない国内及び海外症例が集積したことから、使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
直近3年間の報告数:国内では、医薬品と事象(アナフィラキシー関連症例)との因果関係が否定できない症例は1例、うち死亡0例。海外では、医薬品と事象(同)との因果関係が否定できない症例は3例、うち死亡0例。
▽フラジール内服錠/アネメトロ点滴静注液(同メトロニダゾール、シオノギファーマ/ファイザー)
薬効分類:641 抗原虫剤
▽ラベファインパック(同ラベプラゾールナトリウム・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール、エーザイ)
薬効分類:619 その他の抗生物質製剤
▽ボノピオンパック(同ボノプラザンフマル酸塩・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール、武田薬品)
薬効分類:619 その他の抗生物質製剤
指示概要:フラジール/アネメトロについて、「重大な副作用」の項に、「QT延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)」を追記する。ラベファイン、ボノピオンについて、「重大な副作用」〈メトロニダゾール〉の項に、「QT 延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)」を追記する。
改訂理由:QT延長及び心室頻拍関連の国内及び海外症例を評価した。専門委員の意見も聴取した結果、メトロニダゾールとQT延長及び心室頻拍との因果関係が否定できない海外症例が集積したことから、メトロニダゾール含有製剤(経口剤及び注射剤)の使用上の注意を改訂することが適切と判断した。
直近3年間の報告数:海外において、医薬品と事象(QT延長及び心室頻拍関連症例)との因果関係が否定できない症例は1例、うち死亡0例。