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キョーリン製薬HD・荻原社長 ベオーバ出荷調整解除「8月1日を目指す」 22年度売上予想141億円

公開日時 2022/05/13 04:50
キョーリン製薬ホールディングスの荻原豊社長は5月12日、2022年3月期(21年度)決算会見に臨み、過活動膀胱治療薬・ベオーバの出荷調整の解除日について、「22年8月に解除する。できれば1日を目指したい」と述べた。各製造委託先でのスケールアップ(設備増強)とセカンドソース(新たな製造先)の立ち上げ、製剤生産能力の増強に総力を挙げて取り組んだと説明。杏林製薬と共同販売先のキッセイ薬品を合わせた21年度の売上数量に対して、3倍以上の製品供給能力の構築を目指すことも表明した。

今回のスケールアップとセカンドソースの立ち上げにより、21年度にベオーバの原価率低減も実現した。荻原社長は「中長期的な成長を支える主力製品として、更なる原価率低減を目指す」とも語った。同剤の21年度売上は86億円。22年度は前年度比55億円増の141億円を目指す。なお、キッセイ薬品は22年度に売上110億円を計画している。

ベオーバは19年12月の長期投与解禁を機に想定以上の需要があり、両社とも20年から出荷調整を継続。生産体制を再構築していた。

◎21年度業績 「新医薬品等」は前年度と横ばい 後発品事業は伸長

キョーリン製薬HDの21年度連結業績は、売上1055億円、営業利益50億円だった。21年度から新会計基準を適用したため前年度からの増減率は公表していないが、20年度実績と単純比較すると、売上は26億円増、営業利益は8億円減となる。

売上の内訳は、主に新薬や長期収載品で構成する国内の「新医薬品等」は697億円で前年度と横ばいだった。デザレックス、ベオーバ、ラスビックの新薬群の伸長に加え、一部の後発品企業の品質問題に端を発した製品の供給不安の影響で、ペンタサやムコダインといった長期収載品が予想以上に売上を伸ばした。

後発品事業は348億円で、前年度との単純比較で26億円伸びた。キプレスAG、ナゾネックスAG、ウリトスAGの後発品市場内シェアは、目標とする50%以上をそれぞれ維持。荻原社長は、キプレスAGの後発品市場内シェアは65.5%、ナゾネックスAGは同79.2%、ウリトスAGは同61.9%と報告した。21年度の追補収載品計5成分9品目も後発品事業に寄与した。

営業利益の減少は、6%台の薬価改定影響や後発品の売上増を背景に原価率が3.4ポイント上昇し、結果、売上総利益が20億円強減少。コスト削減などに努めたものの、減益をカバーできなかった。

◎フルティフォーム 数量シェア30%目指す

主要製品の売上と今後の営業戦略を見てみる。喘息治療薬フルティフォームの売上は21年度126億円(前年度比5.5%減)、22年度は120億円と予測した。薬価改定影響に加え、ICS/LABA/LAMAの3剤配合剤の拡大で、フルティフォームを含むICS/LABA配合剤市場が21年度に前年度から10.8%縮小。フルティフォームの競合品に後発品が登場したこともあり、厳しい市場環境が続くとした。ただ、荻原社長は、エアゾール製剤の有用性の訴求や、小児適応の浸透により、「数量ベースでのシェア拡大を図る」と強調。将来像として、数量シェア30%を目指す考えを示した。

◎ベオーバ 第一選択薬としての評価確立に注力

ベオーバは21年度86億円(同17.8%増)、22年度141億円を目指す。8月の出荷調整解除を機に処方拡大を図り、過活動膀胱治療薬における第一選択薬としての評価確立に取り組む。持続成長を期待する一方で、荻原社長は「売上も、供給能力に沿った数値を目指したい」と話した。

◎デザレックス 有効性と使いやすさを訴求、耳鼻科処方率ナンバー1へ

抗アレルギー薬デザレックスは21年度71億円(同24.0%増)、22年度80億円と予測した。22年4月改定で9.62%の薬価引下げを受けたが、数量を伸ばして増収させる計画を立てた。耳鼻科処方率は現在2位だが、有効性と、▽眠気の少なさ▽自動車運転の制限なし▽食事の有無にかかわらず服薬可能――といった“使いやすさ”を兼ね備えた薬剤であることを訴求し、耳鼻科処方率ナンバー1と内科での採用軒数拡大を図る。

ラスビックは21年度18億円(同111%増)、22年度30億円を目指す。経口抗菌薬市場はコロナ禍における感染予防対策の徹底もあり、縮小傾向にある。同社も中長期の見通しとして、「呼吸器・耳鼻科での経口抗菌薬市場は微減傾向」と予測している。このような市場環境でも同剤の普及拡大に努め、高齢者や基礎疾患のある呼吸器感染症患者の第一選択薬に位置付けられるように取り組む。

◎慢性咳嗽薬リフヌア 呼吸器専門医を中心に情報活動「ポジショニング確立する」

杏林製薬が4月から独占販売している世界初の難治性慢性咳嗽治療薬・リフヌア(一般名:ゲーファピキサントクエン酸塩)に関しては、荻原社長は「呼吸器専門医を中心に製品特性の理解浸透を図り、ポジションを確立する」との方針を示した。

同剤は味覚関連の副作用が確認されており、海外第3相試験(030試験:COUGH-2)では安全性評価例数440例のうち、味覚不全は188例(42.7%)、味覚減退は57例(13.0%)にみられた。荻原社長はこの安全性データを紹介しながら、「副作用よりもベネフィットが上回っていると考えている」との認識を示すとともに、「難治性の慢性咳嗽に明確な診断基準がないということに加え、味覚関連の副作用も発現していることから、初年度の情報提供活動は専門医中心とし、適正使用例を見極めていきたい」と述べた

【21年度連結業績(前年度比) 22年度予想(前年度比)】
売上高  1055億3400万円(-) 1120億円(6.1%増)
営業利益  50億700万円(-) 55億円(9.8%増)
親会社帰属純利益 39億3200万円(-) 45億円(14.4%増)
*「収益認識に関する会計基準」を期首から適用しているため、対前期増減率は記載していない。

【21年度の国内主要製品売上高(前年度実績) 22年度予想、億円】
フルティフォーム 126(133) 120
デザレックス 71(57) 80
ベオーバ 86(73) 141
ラスビック 18(9) 30
リフヌア -(-) 5
ペンタサ 140(128) 125
キプレス 84(83) 68
ムコダイン 35(33) 29
ナゾネックス 24(28) 18
ウリトス 13(23) 7
ジェネリック計 348(322) 367
うち、キプレスAG 122(108) 107
うち、ナゾネックスAG 36(38) 36
うち、ウリトスAG 8(7) 5
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