アミノレブリン酸塩酸塩 光線過敏症を起こす薬剤との併用禁忌を解除
公開日時 2022/01/11 04:50
厚生労働省医薬・生活衛生局はこのほど、光線力学診断用剤・アミノレブリン酸塩酸塩(ALA)について、光線過敏症を起こすことが知られている薬剤やセイヨウオトギリソウ(SJW)含有食品との併用禁忌を解除し、併用注意とする添付文書改訂を指示した。
ALAは現在、ノーベルファーマからアラベル内用剤、SBIファーマからアラグリオ顆粒剤として発売されている。アラベルは悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中における腫瘍組織の可視化に、アラグリオは経尿道的膀胱腫瘍切除術時における筋層非浸潤性膀胱がんの可視化に用いる。
ALAは体内で光感受性物質に代謝される。このため、光線過敏症を起こすことが知られている薬剤やSJW含有食品を併用すると、光線過敏症が増強されると考えられることから、これまで併用禁忌としていた。併用禁忌の薬剤はテトラサイクリン系抗生物質、スルフォンアミド系製剤、ニューキノロン系抗菌剤、ヒペリシンなど。
PMDAは今回、製造販売元からの併用禁忌削除の相談や関係学会からの要望を受けて、国内外の状況などを調査した。
その結果、▽併用禁忌の薬剤の中に、経尿道的手術後の感染予防として一般的に使用される薬剤が含まれており、これら薬剤が併用禁忌の状況下ではALAの使用が制限され、実臨床上支障をきたしている▽ALAは手術時の腫瘍の可視化に使用されるため、基本的に患者は入院下で管理されており、強い光に曝露される状況になく、光線過敏症の予防が可能▽国内外の副作用報告、公表文献、教科書、診療ガイドライン等の情報からは、光線過敏症を起こすことが知られている薬剤及びSJW含有食品との併用に関して、臨床上の特段の懸念がある内容は確認できなかった――などとし、「強い光の曝露を避ける等のリスク最小化が適切に実施されることを前提」に併用禁忌を解除できると判断した。専門委員からもPMDAの判断は支持され、併用禁忌を解除することになった。