小野薬品 がん免疫治療薬オプジーボをめぐる本庶氏との訴訟で和解 解決金50億円支払、基金に230億円寄付
公開日時 2021/11/12 17:00
大阪地裁は11月12日、がん免疫治療薬オプジーボの特許使用料などをめぐり京都大学の本庶佑特別教授と小野薬品が争っていた裁判で和解が成立した。小野薬品は解決金として本庶氏に50億円を支払うほか、京都大学内に設立される基金「小野薬品・本庶 記念研究基金」に230億円の寄付を行う。
◎本庶氏 「納得できる内容の解決に至ることができた」とコメント
本庶佑氏は代理人を通じ、「裁判所の調整によって納得できる内容の解決に至ることができた。企業から還流される資金や善意の寄付により、基礎研究を長期的展望で支援していきたい。企業と大学が協力して若い研究者が人生をかけてチャレンジできる研究環境を用意していくことが国の成長には不可欠」とのコメントを本誌に寄せた。
一方、小野薬品は、「当社と本庶氏は、免疫抑制の阻害による新たながん治療法の発見、およびそれを活用したがん免疫治療薬(オプジーボ)の開発におけるそれぞれの貢献を高く評価するとともに、我が国における産学連携の新たな形を示すために和解によって本訴訟を終了させることにした」と説明。同社によると、合意した和解内容は、2020年6月1日付けで提起されたPD-1特許に関する対第三者訴訟関連金として約262億円を請求する本訴訟のみならず、2006年10月23日に締結された「PD-1遺伝子特許実施権許諾に関する契約書」に係る当社と本庶氏との紛争について全面解決を図るとした。
和解内容によると、小野薬品は、ライセンス契約で定められたロイヤルティ料率を変更することなく、今後も本庶氏にロイヤルティを支払う。また、本庶氏に支払われる50億円は、①ライセンス契約に係る紛争の全面解決に対する解決金、②3つの特許およびこれに関連する国内外の特許の有効性をめぐる対第三者訴訟において本庶氏が小野薬品に協力したことに対する報奨金、③本特許を含むライセンス契約の対象特許における本庶氏以外の発明者に対する清算金-となっている。
◎京大内に設立する「小野薬品・本庶 記念研究基金」に寄付
このほか、小野薬品は京都大学内に設立される基金「小野薬品・本庶 記念研究基金」に230億円の寄付することを明らかにした。