AZ・ヴォックスストラム社長 「i2.jp」の参画パートナー数は132 患者が抱える社会課題の解決に注力
公開日時 2021/11/12 04:51
アストラゼネカのステファン・ヴォックスストラム社長は11月11日のメディアセミナーで、同社の「i2.jp」に参加するパートナー数が設立から1年で132(企業・団体)に拡大したと報告した。オープンノベーション型のヘルスケア・イノベーションハブとして20年11月に設立し、発足当初のパートナー数は7だった。現時点で16のプロジェクトが始動しているほか、ビジネスマッチングも30以上に及ぶ。この日のセミナーでは、i2.jpの成果として、木幡計器製作所、Welby、AZの3社による、肺がん患者の在宅リハビリを支援することで術後の呼吸機能の改善や体力を回復させるソリューションの開発事例が報告された。
ヴォックスストラム社長は、「患者のペインポイントを明らかにし、これらすべてのパートナーの前に提示する。パートナーが一堂に会すことで、あらゆるすべての社会課題を解決する」と述べ、医薬品を超えたヘルスケアソリューションを開発するi2.jpの意義を強調した。そのうえで、i2.jp設立から1年を経て「おそらく日本では最大規模になってきた」と強調し、スタートアップ、保険会社、薬局、ベンチャーキャピタル、アカデミアが参画するエコシステムとして機能し始めていることに強い期待感を表明。さらに、急速な高齢化と人口減少という社会構造や社会システムの変革に直面する日本の状況を世界中が注目していると述べ、社会課題を解決し、実走できる革新的なソリューションの創出に強い意欲を示した。
AZの劉雷イノベーションパートナシップ&i2.JPダイレクターは、i2.jpの活動を報告。パートナー数が132を数え、同社との共創事例も増えていると明かした。代表例として、MICINのオンライン診療を活用したCOPD患者への服薬指導の検証プログラムや、ユビーのAI問診を用いた取り組み、さらには戦略的パートナーシップ契約を締結したWelbyとのPHRアプリを活用した肺がん患者への治療管理サポートを紹介した。また、英国大使館/Tech Nationとのコラボレーションで、UK発スタートアップの日本進出のサポートも手掛け、すでに15社以上のスタートアップと面談し、5社がi2.jpに参画したと披露した。
◎パートナー企業のWelby・比木社長「ムーブメントとして影響力発揮を」
パネルディスカッションでは、AZ、木幡計器製作所、Welbyの3社による「呼吸リハビリ」プロジェクトの進捗状況が報告された。このプロジェクトは、周術期の肺がん患者の在宅リハビリを支援するほか、その内容を医療従事者管理できるようにサポートするもの。
プロジェクトに参加したWelbyの比木武代表取締役は、「医療現場のDX化は非常にタイムリーだと思う」と強調した。一方で日本の課題として旗振り役を誰がやるのかと指摘。「むしろ民間主導でやらなければいけない中で、12.jpの取り組みは非常にありがたい」と述べ、「次はi2.jpのムーブメントとして影響力を発揮していかないといけない。責任重大だと感じている。そのためには実績を出すことが重要だ」と表明した。
◎木幡計器製作所の木幡社長「2025年の大阪万博に向けて実証ベースの動きを」
木幡計器製作所の木幡巌社長は、「パートナーには地域も一緒になって取り組んでいる。2025年は大阪万博が地元で開催される。そこに向け実証ベースの動きをやっていきたい」と述べた。