独BI 米バイオベンチャーAbexxa Biologics社を買収 がん免疫療法の研究加速
公開日時 2021/10/07 04:49
独ベーリンガーインゲルハイム(BI)は10月5日、米バイオベンチャーAbexxa Biologics社を買収したと発表した。Abexxa社は、細胞内に発現するがん固有のタンパク質を標的とする専門的な知見を有しており、治療ターゲットとなる新たながん抗原の発見や、細胞内抗原を標的とする新たなアプローチの確立につながることが期待される。がん免疫療法に注力するBIだが、新規細胞内がん抗原に結合する抗体のポートフォリオを拡充することで、既存のがん免疫療法で耐性が生じたがんなど、治療困難ながんに対する革新的ながん免疫療法の研究開発を加速したい考え。
買収したAbexxa社は、非古典的MHCクラスI分子であるHLA-E(ヒト白血球抗原)上に提示される細胞内抗原に対する特異的抗体の開発に重点的に取り組んでいる。この技術は、幅広いがん患者さんに効果的ながん免疫療法の開発につながることが期待されている。実際、オンコロジー領域で、NKG2A:HLA-E免疫チェックポイント系を阻害するファースト・イン・クラスのT細胞受容体(TCR)様抗体の開発などにつながっているという。独BIはこうした革新的技術を評価し、2016年に同社の初期投資資金をベーリンガーインゲルハイム ベンチャーファンドが提供していた。
今回の買収について同社は、総合的なオンコロジー戦略を強化する一連の戦略的買収・提携の一つに位置付けており、がん免疫療法とがん細胞標的療法を融合させることで、がん免疫療法をはじめとした、次世代のがん治療創出を加速させたい考え。