武田薬品 ノロワクチン開発目指した新会社を設立 米医療ベンチャーと提携
公開日時 2021/08/02 04:50
武田薬品は7月30日、米国の医療ベンチャー企業・Frazier Healthcare Partners(Frazier社)と提携し、ノロウイルスワクチンの開発・販売する新会社「HilleVax, Inc.(HilleVax社)」を設立したと発表した。HilleVax社は、武田薬品が開発を進めてきたノロウイルスワクチン候補「HIL-214(旧開発コード:TAK-214)」を引き継ぎ、2027年度以降の承認取得を目指す。同社によると、ノロウイルス感染症で承認されているワクチンはなく、現段階ではHIL-214が臨床試験で最も開発が進んでいる。これにより同社は、現在国内で供給しているワクチンや、デング熱、新型コロナウイルス感染症などの他のワクチンの開発に注力する方針。
HIL-214は、ノロウイルスの外殻タンパク膜を正確に模倣したタンパク質であるウイルス様粒子技術(VLPs)を用いた開発候補品。GⅠ.1型、GⅡ.4型の抗原を含み、ノロウイルスがヒトに感染して症状を引き起こす主な2つの遺伝子型に対応している。
ノロウイルスに起因する中等度から重度の急性胃腸炎の予防を目的に据えて開発が進められており、すでに4712 例の成人被験者を対象とした無作為割付プラセボ対照臨床第 2 相後期有効性フィールド試験を完了した。同社によると、ワクチン候補の良好な忍容性と、ノロウイルス感染に起因する中等度から重度の急性胃腸炎に対する予防効果が確認されているという。またこれまでに行われた9本の臨床試験で、4500例以上の被験者の安全性データや、2000例以上の被験者から得られた免疫原性データが集積されているとしている。
武田薬品は、HilleVax 社に対し、HIL-214の日本を除く世界における独占的開発および販売の権利を譲渡。契約一時対価と将来の売上に応じたキャッシュ・ロイヤルティやマイルストンを対価として、武田薬品は日本における販売権を保有し、HilleVax 社は日本における開発活動をグローバル開発に統合する。金額はいずれも非開示。
両社は2019年にも、消化器疾患領域における治療薬の開発や販売を行うバイオ製薬企業・Phathom Pharmaceuticals社を設立していた。