中外製薬 高リン血症薬候補を導出 中国バイオ企業とオプション・ライセンス契約締結
公開日時 2021/07/12 04:50
中外製薬は7月9日、高リン血症候補として開発中の「EOS789」について中国のバイオ企業Alebund Pharmaceuticals (Hong Kong) Limited(アレブンド社、中国上海市)に導出すると発表した。両社は、オプション・ライセンス契約を締結した。EOS789は、中外製薬が自社創成した経口化合物で、第1相臨床試験を終えていた。今後はAlebund社が開発を進め、オプション権を行使した場合、全世界・全適応症における開発・製造・販売の独占的実施権を得ることになる。
EOS789は、中外製薬が自社創製した経口のNaPi-IIb, PiT-1, PiT-2阻害剤。複数のリン酸トランスポーターを阻害することで、消化管におけるリンの吸収を抑制し、血中のリン濃度を低下することが期待されている。契約により、中外製薬はAlebund社から契約一時金に加え、製品ライフサイクルの進捗に応じたマイルストン、上市成功後には、売上に対するロイヤリティを受け取る。金額は非開示。
Alebund社は、2018年初頭に上海で設立されたバイオ医薬品企業。慢性腎臓病 (CKD)/透析合併症、IgA 腎症、糖尿病性腎臓病、常染色体優性多発性囊胞腎(ADPKD)など、腎疾患をターゲットとしたパイプラインを有しており、新世代のリン吸着剤開発を進めている。同社のGavin Xia共同創業者兼CEOは、新たな作用機序が期待される化合物の獲得で、「既存のパイプラインに同化合物を加えることにより、高リン血症を有する透析患者に、より包括的なトータルソリューションの提供が可能となる」と期待感をみせている。