PhRMA AMR対策のPASTEUR法提案を歓迎
公開日時 2021/06/22 04:50
米国研究製薬工業協会(PhRMA)は6月16日、第117回米連邦議会でAMR(薬剤耐性)対策を目的としたPASTEUR Act(the Pioneering Antimicrobial Subscriptions to End Upsurging Resistance:急増する薬剤耐性を終焉させる抗菌剤サブスクリプションへの道を開く)が再提出されたことを受け、これを歓迎するAndrew Powaleny上級広報部長の声明を発表した。
声明は、米国では毎年5万人がAMRを原因として死亡し、AMRに有効な薬剤が上市されないままだと2050年までに世界で毎年1000万人が犠牲になるとAMRの脅威を改めて指摘した。その上で、「PASTEUR法という意義深い政策改革案は、不可欠といえる抗菌剤製品の入手を確保するために、また、将来、新規抗菌剤の開発を促すために是が非でも必要なインセンティブを生み出す常識的な提案である」と歓迎した。さらに、「PASTEUR法は、次の公衆衛生の危機に対して我々をより強く、より健康にかつより適正に準備させるためにAMRへの危機対応力の強化とヘルスケアの弾力性を向上させるソリューションの一環である」と話した。
Powaleny上級広報部長はまた、「バイオ医薬品産業は、慈善団体、開発銀行および多角的な組織とAMRアクションファンドを通して、真正面からこの問題解決に取り組んでいる。同ファンドでは、早期ステージの製品開発を支援するために10億ドルの投資を目指している。これにより2030年までに2つから4つの新規抗菌剤を上市する考えだ」と強調。「このPASTEUR法のような包括的な政策改革に沿った業界主導の努力は、新規の償還方法や適正な患者アクセスを進化させることや抗菌剤R&Dおよび商業化のための持続可能で予想可能なエコシステムを作り出すために必要である」と話した。
PASTEUR法案では、AMR耐性感染症薬剤開発のために、製薬企業が売上げや報酬に関係なく開発に専念できるように、いわゆるサブスクリプション型インセンティブ制度(承認前のプッシュ型インセンティブと異なり薬価優遇、買い上げ保証、特許期間優遇などプル型インセンティブの1つ。製品承認後に、一定額を一定期間支払う制度)を構築する内容としている。また、抗菌剤の適正使用を促すため、病院内での管理プログラムを支援する新規財政援助プログラムの設置なども含まれている。
同法案は、上院のMichael Bernett議員(民主党、コロラド州選出)、同Todd Young議員(共和党、インディアナ州選出)、下院Michael Doyle議員(民主党、ペンシルバニア州選出)および下院Drew Ferguson議員(共和党、ジョージア州選出)の4名が超党派でまとめた。