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厚労省 治療抵抗性統合失調症薬クロザリル錠の添付文書改訂を指示

公開日時 2021/06/04 04:49
厚生労働省医薬・生活衛生局は6月3日、重大な副作用などが判明した医療用医薬品の添付文書を改訂するよう、日本製薬団体連合会に医薬安全対策課長通知で指示した。改訂指示があったのは治療抵抗性統合失調症薬クロザリル錠25mg、同錠100mg(一般名:クロザピン、ノバルティスファーマ)で、これまで禁忌としていた「無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者」を禁忌から除外するなど3点改訂することになった。

日本精神神経学会、日本神経精神薬理学会、日本臨床精神神経薬理学会、日本統合失調症学会からの要望を受け、PMDAによる調査や専門委員による協議を経て今回の結論に至った。

今回、▽投与開始第52週以降の血液検査間隔▽白血球数又は好中球数減少による中止後のクロザピン再投与▽無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者におけるクロザピン投与――について調査・検討された。

血液検査間隔はこれまで第26週以降は隔週1回となっているが、今回、52週以降の血液検査間隔を4週間に変更することになった。ただ、4週間に変更後には、無顆粒球症の発現状況を慎重にモニタリングすることなども求められた。

これまで、「CPMS(クロザリル患者モニタリングサービス)で定められた血液検査の中止基準により、本剤の投与を中止したことのある患者」は禁忌とされ、白血球数又は好中球数減少による中止後の再投与はできなかった。今回、▽治療抵抗性の統合失調症に対する有効性が検証された治療法が同剤以外にない▽日本のCPMSで同剤再投与を許容する場合があることが規定され、実際に再投与された20例に明らかな問題が報告されていない――ことなどから、「慎重な再投与可否の検討と経過観察」を前提に再投与できるよう改訂することにした。

無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者では、同剤投与によって無顆粒球症発現の危険性が増すと考えられるとして、この既往歴のある患者はこれまで禁忌だった。今回の調査・検討の結果、CPMSで定められた血液内科医等との連携のもとで投与できるよう改めることになった。

理由は、▽同剤以外の要因によると考えられる無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴がクロザピン誘発性の無顆粒球症のリスクであるとの報告はない▽明らかな民族差が認められたとの報告がないうえ、海外の複数の国・地域では禁忌に設定されていない▽重度の好中球数減少に至っていた患者に再投与され、投与が継続されている患者が存在する――ためだとしている。
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