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21年度薬価改定告示 新薬創出等加算は351成分593品目 最多はノバルティスファーマ G1撤退スキームの初適用も

公開日時 2021/03/05 04:52
厚生労働省は3月5日、2021年度薬価基準改定を官報告示した。初の中間年改定となる。今回の改定の対象範囲は、20年9月取引分における平均乖離率8.0%の0.625倍となる乖離率5.0%を超える品目で、全品目の69%が改定対象となった。新薬創出等加算品目は351成分593品目あり、前回20年度改定から単純比較で16成分38品目増えた。同加算品を最も多く持つ企業はノバルティスファーマ(27成分49品目)だった。後発品は今回7価格帯となった。また、長期収載品のうち、後発品への置き換え率が80%以上のG1品目に対して2018年度薬価制度改革で導入された市場撤退スキームが初めて適用される品目が出た。増産対応する後発品は、2成分4品目。撤退を予定するのは、抗菌薬・ユナシン-S静注用(ファイザー)とエンペシド膣錠(バイエル薬品)で、ユナシン-S静注用についてはMeiij Seikaファルマのスルバシリン静注用(3品目)、エンペシド膣錠富士製薬の抗真菌薬クロトリマゾール膣錠が対応する。


文末の「関連ファイル」に3月5日午前に、厚労省が公開予定の薬価基準改定の概要及び別添資料を掲載する予定です。

今回の中間年改定では、「新薬創出等加算の累積額の控除」や市場拡大再算定などの適用は見送り、19年10月の消費増税改定と同様に、実勢価改定に連動するルールのみ適用することになった。具体的には基礎的医薬品、最低薬価、新薬創出等加算(加算のみ)、後発品の価格帯についてのルールを適用する。

これらの医薬品のうち、乖離率5.0%を超える品目を改定対象とし、調整幅2%に加え、新型コロナウイルス感染症特例として「一定幅」0.8%分引き下げ率を緩和することになった。これにより改定対象品目は、薬価と市場実勢価との乖離率から2.8%引いた率を引き下げる。

例えば、20年4月より以前に新薬創出等加算品だった品目で、この1年間に後発品が参入するなどして同加算の対象から外れた品目については今回、加算累積分の引下げは行わない。ただ、当該製品の乖離率が5.0%を超えている場合は、2.8%引いた上で薬価改定することになる。

■69%が改定対象に

全1万7550品目の69%に相当する1万2180品目が今回の改定対象となった。1万7550品目を告示ベースにすると、統一名収載などにより、1万4228品目となる。告示ベースでの内訳は内用薬8549品目、注射薬3534品目、外用薬2118品目、歯科用薬剤27品目――となる。

新薬創出等加算品は351成分593品目で、その加算理由は▽希少疾病用医薬品が175成分267品目(前回20年度改定から8成分21品目増)▽開発公募品が12成分22品目(増減なし)▽加算適用品が92成分173品目(同4成分5品目増)▽新規作用機序医薬品のうち基準該当品が47成分82品目(増減なし)▽新規作用機序医薬品から3年以内かつ3番手以内のうち1番手が加算適用品又は基準該当品が25成分49品目(同4成分12品目増)――となった。

なお、前回改定からの成分・品目数の増減は、この1年間に同加算から外れたものは除外し、新たに加算品となったものを加えた数値のため、今回新たに加算品となった数と一致しない場合がある。

新たに同加算品となった製品には例えば、世界初の光免疫療法薬アキャルックス点滴静注や初の経口GLP-1受容体作動薬リベルサス錠、乾癬治療薬イルミア皮下注などのほか、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性非小細胞肺がん治療薬タブレクタ錠などの希少疾病用医薬品がある。

一方で、これまで同加算品ではあったものの、20年4月以降に後発品が登場した製品は、▽疼痛薬リリカ▽認知症薬イクセロン/リバスタッチ▽認知症薬メマリー▽消炎鎮痛薬セレコックス▽認知症薬レミニール▽高脂血症治療薬ゼチーア▽前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬ザルティア▽前立腺肥大症治療薬アボルブ▽過活動膀胱治療薬ステーブラ/ウリトス▽骨粗鬆症治療薬エディロール▽輸血による慢性鉄過剰症用薬ジャドニュ▽糖尿病薬シュアポスト▽片頭痛治療薬アマージ▽特発性肺線維症治療薬ピレスパ▽抗アレルギー薬ディレグラ▽抗菌点眼薬ベガモックス――の16製品ある。これらの品目の中で乖離率が5.0%を超えている製品は実勢価改定する。

■新薬創出等加算保有企業 成分数トップ3は全て外資系 4位に武田薬品

新薬等加算の企業区分は今回、区分1が21社、区分2が58社、区分3が8社――となった。厚労省によると、区分2が3社増えた。

同加算品の保有企業を見てみると、成分数では1位がノバルティスファーマ(27成分49品目)、2位がヤンセンファーマ(21成分32品目)、3位がサノフィ(20成分28品目)、4位が武田薬品(18成分35品目)、5位がファイザー(17成分30品目)、6位タイがMSD(12成分20品目)と中外製薬(12成分21品目)、8位がノーベルファーマ(11成分12品目)、9位タイが第一三共(9成分25品目)と小野薬品(9成分19品目)――となった。品目数で見ても最多はノバルティスで、2位が武田薬品、3位がヤンセンとなった。

■初の中間年改定で後発品は7価格帯に G1撤退にかかわる後発品は2成分4品目

後発品の価格帯は初の中間年改定で、7価格帯となった。2020年度薬価改定で、価格帯の集約により改定前薬価の薬価を上回ることを抑制するルールが導入されたため。成分規格数は1価格帯775、2価格帯241、3価格帯68、4価格帯34、5価格帯6、6価格帯1、7価格帯1――だった。

市場から撤退予定のG1品目に対して、増産を行うのは、2成分4品目。ユナシン-S静注用については、Meiji Seikaファルマのスルバシリン静注用0.75g(一般名:アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム)、同静注用1.5g、同静注用3g。これまで統一名収載のため1価格帯だったが、銘柄別収載となることから2価格帯となる。また、エンペシド膣錠は、富士製薬のクロトリマゾール膣錠100mg「F」(同クロトリマゾール、エンペシド)が増産対応する。同製品は1価格帯。なお、先発品の市場撤退は後発品の増産に必要な期間として6年間の猶予を設けるが、増産体制が整備されれば6年を待たずに市場から撤退することが可能となっている。
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