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バイタルHD・村井社長 入札談合以来「各地で卸間値引き競争が過熱」 コロナと薬価改定で営業損失

公開日時 2020/11/11 04:52
バイタルケーエスケー・ホールディングス(バイタルHD)の村井泰介社長は11月10日、2021年3月期第2四半期決算のオンライン説明会に臨み、2009年の同社発足以来、初めて当期営業赤字を経験したと報告した。その背景として、新型コロナの感染拡大に伴う受診患者の減少と、それに伴う医療機関からの取引条件に関する要望、さらには19年10月と20年4月の2度にわたる薬価改定の影響をあげた。また「JCHOへの医薬品入札談合以来、各地で卸間の値引き競争が過熱している」と指摘。村井社長は、「通期業績予想の適正かつ合理的な算出が現時点では困難」と述べた。

同社の第2四半期連結業績は、売上高2666億7000万円(前年同期比6.6%減)、売上総利益190億8200万円(13.3%減)、営業利益はマイナス11億1100万円。前年実績である14億円の営業黒字から一転、当期は営業損失となった。粗利率は7.16%で前年同期の7.71%から0.55ポイント落ち込んだ。これは売上減に伴うアローアンスやリベートの減少が主な要因。一方、販管費は業績悪化に伴う人件費の見直しやコロナ禍での出張旅費や接待交際費等の減少により前年同期実績より約4億円改善した。
カテゴリー別にみると、医療用医薬品卸売事業は、売上高2517億9600万円(7.1%減)、売上総利益156億7800万円(15.7%減)、営業利益はマイナス11億5200万円だった。

◎「新薬創出加算品の売上が大きく減少した」

村井社長はオンライン説明会で業績に影響した要因を分析。新型コロナの感染拡大については、「新規感染者数とほぼ反比例する形で、当社の実績が推移した」と述べ、感染拡大の影響が大きかったことを強調した。また19年10月と20年4月の2回に及ぶ薬価改定の影響に触れ、「新薬創出加算品の売上が大きく減少した。当社は従来から新薬創出加算品に対する営業を強化してきたので、薬価改定が与えた影響は大きいものとなった」と指摘した。

◎「市場の混乱はいまなお続いている」通期業績にも少なからず影響

このほか市場環境の変化にも触れ、JCHOを発注者とする医療用医薬品の入札談合以降は「卸間の値引き競争が過熱している」のに加えて、「新型コロナ感染下で医療機関の経営環境も急速に悪化しており、それに伴い得意先からの取引条件に関する要望も大変強くなってきている」と述べた。村井社長は、「当社として流通改善GLの主旨に沿って適正価格での取引に努めてきたが、市場の混乱はいまなお続いている。業績にも少なからず影響を与えている」と述べた。

◎MRとMSの連携ツール「FINE」 製薬企業の導入「10か月間で4倍に増えた」

一方でニューノーマル時代に向けたデジタルを活用したMSとMRの連携にも意欲を示した。村井社長は、MRとMSの連携を推進するチャットツール「FINE」を導入した製薬企業が「この10か月間で4倍に増えた」と明かし、「この傾向は今後も続く。これまで以上に密なやり取りをMRとMSの間で実践していく」と述べた。さらにMS同士の情報共有も進めているとし、成功事例をタイムリーに共有することで、営業力強化に努めたいとした。さらに、データ入力を簡素化することで、残業時間の削減など働き方改革にも寄与しているとした。

◎MSにタブレット携帯端末600台超を導入 MRと医師の架け橋に

このほか同社はMSを対象にタブレット携帯端末を600台以上導入し、MRと医師の架け橋としてMSによるプロモーション価値を一層高める活動を開始した。具体的な活動では、製品説明動画を用いたプロモーション活動、オンライン面談、製品説明会の支援、Web講演会の視聴案内活動など。村井社長は、「地域の医師からの信頼の厚い当社のMSだからできる価値をデジタルツールの活用を通じて最大化したい」と意欲を示した。


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