CHMP CAR-T療法Tecartusなど9品目の承認を勧告
公開日時 2020/10/23 04:50
欧州医薬品庁(EMA)ヒト医薬品委員会(CHMP)は10月12~15日に開催され、マントル細胞リンパ腫治療薬Tecartus(blexucabtagene autoleucel)など9品目について承認勧告を行った。EMAが10月16日、発表した。今回、承認勧告を受けた製品は以下の通り。(製品名、一般名、企業名、適応症、摘要の順)
▽Tecartus(blexucabtagene autoleucel)注射用懸濁液(0.4-2.0 X 108細胞)。Kite Pharma EU B.V社。再発もしくは難治性マントル細胞リンパ腫。同剤は、CAR-T(キメラ抗原受容体T細胞)療法のため、先進医療製品でEMAのCAT(先進医療委員会)の評価対象となった。Kite Pharma EU B.V社は米ギリアド社のグループ会社。
▽Libmeldy(アリルスルファターゼAをコード化した凍結保存自家CD34陽性細胞)注射。Orchard Therapeutics(Netherlands) B.V社。乳児後期もしくは早期若年型異染性白質ジストロフィー。同製品は細胞療法である。先進医療製品のためEMAのCAT(先進医療委員会)の評価対象となった。異染性白質ジストロフィーは、遺伝的にアリルスルファターゼA(ARSA)という酵素が欠損しているために、脳や神経系統などに糖脂質のスルファチドが蓄積して、中枢神経や末梢神経に障害をもたらす。現在、同疾患に対する治療法はない。同療法は、ARSAのコピーを組み込んだ患者自身のCD34陽性細胞を身体に注入する。
▽Oxlumo(lumasiran)189mg/ml注射用液。Alnylam Netherlands B.V社。遺伝性希少疾患である原発性高シュウ酸尿症1型(PH1)。同剤はRNA干渉薬。EUでは、PH1に対する初の治療薬となった。
▽Rekambys(rilvirine)長時間作用型注射用懸濁剤600mgおよび900mg。Janssen-Cilag International N.V社。HIV1による感染症。同剤は、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)。同剤は、HIVインテグラーゼ鎖転移阻害剤(INI)cabotegravirとの併用が義務付けられている。
▽Vocabria(cabotegravir)30mgフィルムコート錠及び400mg並びに600mg長時間作用型注射用懸濁液。ViiV Healthcare B.V社。同剤は、HIVインテグラーゼ鎖転移阻害剤(INI)。上記、rilvirineとの併用が承認勧告された。
▽Fintepla(fenfluramine)2.2mg/ml経口液剤。Zogenix ROI Limited社。ドラベ症候群に伴う2歳以上の乳幼児のてんかん。同剤は、5-HT受容体作動薬である。ドラベ症候群は、乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)と呼ばれる小児の難治性てんかん。原因については8割が遺伝子異常とされている。
▽Leqvio(inclisiran)284-mg 注射用液。Novartis Europharm Limited社。原発性高コレステロール血症および混合型脂質異常症。同剤は、既存薬とは異なる新規作用機序を持つ、PCSK9(ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)遺伝子を標的とするsiRNA核酸医薬である。
▽Palforzia(落花生脱脂紛)カプセル入り経口粉末0.5、1、10、20、100mgおよびサシェ入り経口粉末300mg。Aimmune Therapeutics Ireland Limited社。小児および少年(4歳-17歳)におけるピーナツアレルギーに対する減感作療法剤。18歳以上も継続が可能。
▽Trixeo Aerosphere(ホルモテロール/臭化グリコピロニウム/ブデソニド)加圧吸入懸濁液。AstraZeneca AB社。成人における、コントロールが不十分なCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の維持療法。同剤は、長時間作用型β2受容体作動薬(LABA)のホルモテロール、長時間作用型ムスカリン受容体拮抗剤(LAMA)の臭化グリコピロニウムおよび吸入グルココルチコステロイドのブデソニドの配合剤。