日医 医療機関に患者の受け入れ体制確認を要請 院内感染防止へ
公開日時 2020/02/27 04:50
新型コロナウイルスの感染者を受け入れる医療機関が今後、拡大する可能性を踏まえ、日本医師会の釜萢敏常任理事は2月26日の会見で、各医療機関に対し、受け入れ体制の確認を要請する通知を発出する考えを示した。動線や診療時間を区分けして、感染の疑いがある人を診療できる体制の確保や、感染防護に必要な資材を準備するなど、院内感染防止に向けた体制整備の確認を求めた。
政府が25日に決定した対策基本方針では、感染症指定医療機関などに設置されている「帰国者・接触者外来」だけではなく、診療所などの医療機関でも、感染の疑いがある人を受け入れる方針が示されていた。
釜萢常任理事は、「標準予防策など準備が整い、患者に対応できる医療機関を順次把握して、対応していく必要がある」と強調。一方で、医療の現場では、感染防護のために必要な資材がN95マスクを中心に不足する状況が続いているとして、「標準予防策をとるためには、防護具が必要となる。幅広い医療機関で患者に対応する場合、防護具の準備との兼ね合いが今後、重要な問題になってくる」と指摘した。
◎日医 PCR検査の全国状況把握へ 適切な実施を自治体に要請
釜萢理事は新型コロナウイルスのPCR検査をめぐり、医師が保健所に検査を依頼しても、人員不足などを理由に対応を断られるケースが起きていると改めて指摘した。そのうえで、日本医師会として実態を把握し、政府と情報を共有しながら、改善を図る考えを示した。具体的には、インターネットを通じ、会員から医療現場の情報を収集。不適切な事例があれば、保健所や医療機関などの情報を政府と共有し、都道府県など自治体に改善を促す考え。釜萢常任理事は、「現場がよくなるために、毎日情報を整理していきたい」と述べた。
新型コロナウイルスのPCR検査について、加藤厚労相は25日、公的医療保険の適用に向けた準備を進める考えを示している。同検査は現在、全額が公費で賄われている状況にある。
◎安倍首相 大規模イベント中止などの対応要請 入国制限も拡大へ
新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて、安倍晋三首相は26日、大規模イベントについて、「今後2週間程度、中止か延期、または規模を縮小」を要請する考えを示した。同日、開催した新型コロナウイルス感染症対策本部で明らかにした。安倍首相は、「この1、2週間が感染の流行を早期に終息させるために、極めて重要な時期だ」と強調した。
対策基本方針では、「地域や企業に対し、感染拡大防止の観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討するよう要請する」と明記していた。
また安倍首相は、韓国での新型コロナウイルスの感染拡大を受け、新たに韓国の大邱広域市と慶尚北道清道郡も、入国拒否の対象地域に加える考えを示した。27日午前0時から、入国申請前の14日以内に該当地域に滞在歴がある外国人に対し、入国拒否の措置を講じる。
特定地域の滞在を理由にした入国拒否は、中国・湖北省と浙江省に続くもので、中国以外に対象を広げたのは初めて。