医療用薬9製品 効能追加など承認取得 オプジーボは結腸・直腸がんと食道がん追加
公開日時 2020/02/25 04:52
医療用医薬品9製品が2月21日、効能追加などの承認を取得した。抗PD-1抗体オプジーボ(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))は、結腸・直腸がんと食道がんに関する効能を追加した。
承認された製品は以下のとおり(カッコ内は一般名、製造販売元)
▽オプジーボ点滴静注20mg、同100mg、同240mg(ニボルマブ(遺伝子組換え)、小野薬品):「がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸がん」と「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道がん」を効能・効果に追加する新効能医薬品。
ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(免疫チェックポイント阻害薬)。いずれの適応もオプジーボ単剤で用いる。
MSI-Highを有する結腸・直腸がんに使える免疫チェックポイント阻害薬にはキイトルーダもあり、オプジーボは2番手となる。食道がんに使える免疫チェックポイント阻害薬はオプジーボが初となる。
切除不能の結腸・直腸がん患者のうちMSI-Highを持つ割合は約5%だが、こうした患者は予後不良の傾向がみられるほか、標準治療のフッ化ピリミジン系抗がん剤を含む化学療法の有効性が乏しいことが報告されている。食道がんについては、二次治療で明確に生存期間の延長を示す薬剤はなく、新規治療薬の開発が期待されていた。
▽レブラミドカプセル2.5mg、同カプセル5mg(レナリドミド水和物、セルジーン):「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫及び辺縁帯リンパ腫」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。
サイトカイン産生調節作用、造血器腫瘍細胞に対する増殖抑制作用、血管新生阻害作用等の薬理作用を持つ免疫調節薬。今回追加する適応には、リツキシマブと併用して用いる。
▽アレセンサカプセル150mg(アレクチニブ塩酸塩、中外製薬):「再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。
ALK阻害薬。ALK融合遺伝子陽性の腫瘍に対して、ALKのリン酸化を阻害することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
未分化大細胞リンパ腫(ALCL)は再発した場合、予後不良となるケースが多く、新たな治療選択肢が待たれていた。ALCLの国内における発症頻度は悪性リンパ腫の1.5~2.0%で、約半数がALK陽性と報告されている。
▽ロズリートレクカプセル100mg、同カプセル200mg(エヌトレクチニブ、中外製薬):「ROS1融合遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。
ROS1(c-rosがん遺伝子1)とTRK(神経栄養因子受容体)ファミリーを選択的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬。ROS1とTRKキナーゼ活性を阻害することで、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制する。
中外の次世代シークエンサーを用いた網羅的がん関連遺伝子解析システム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」は19年12月に、ロズリートレクの今回の適応症に対するコンパニオン診断機能を追加する承認を取得している。ROS1 融合遺伝子を検出することで、同剤の非小細胞肺がんにおける適応判定を補助する。
▽ピリヴィジェン10%点滴静注5g/50mL、同10g/100mL、同20g/200mL(pH4処理酸性人免疫グロブリン、CSLベーリング):「無又は低ガンマグロブリン血症」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。
患者の状態に応じて投与速度の調整が可能な10%静注用人免疫グロブリン製剤。無又は低ガンマグロブリン血症は、血清中の免疫グロブリンGが量的に不足あるいは質的に問題がある疾患。免疫グロブリンGが全く作られない場合を「無ガンマグロブリン血症」、少しだけ作られる場合を「低ガンマグロブリン血症」と呼ぶ。無又は低ガンマグロブリン血症は、病因により原発性免疫不全症候群(PID)と続発性免疫不全症候群(SID)に大別され、いずれも標準治療はIgG補充となる。
▽オレンシア点滴静注用250mg、同皮下注125mgシリンジ1mL、同皮下注125mgオートインジェクター1mL(アバタセプト(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズスクイブ):既承認の関節リウマチの効能・効果で、「関節の構造的損傷の防止を含む」を追加する新効能医薬品。
T細胞選択的共刺激調節薬。現在の効能・効果は「関節リウマチ(既存治療で効果不十分な場合に限る)」だが、これを「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」とする。同様の効能・効果を持つ生物製剤にはTNF阻害薬レミケードなどがある。
▽モディオダール錠100mg(モダフィニル、アルフレッサファーマ):「特発性過眠症に伴う日中の過度の眠気」を効能・効果に追加する新効能医薬品。
承認条件として、睡眠障害の診断、治療に精通した医師・医療機関のもとでのみ処方され、薬局では調剤前に当該医師・医療機関を確認した上で調剤がなされるよう必要な措置を講じること――がついた。
精神神経用剤。脳内に作用し、日中の過度の眠気を改善する。特発性過眠症は日中に過度の眠気がみられる状態で、長時間の睡眠を伴う場合と伴わない場合があり、情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺がみられない点でナルコレプシー(日中に耐えがたい睡魔に襲われ、時間や場所を問わず突然入眠してしまう疾患)と鑑別される。同剤は現在、過眠症のひとつのナルコレプシーや、持続陽圧呼吸(CPAP)療法等による気道閉塞に対する治療を実施中の閉塞性睡眠時無呼吸症候群を適応症とする。
▽ネオーラル内用液10%(シクロスポリン、ノバルティスファーマ):「川崎病の急性期(重症であり、冠動脈障害の発生の危険がある場合)」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。
免疫抑制作用を有するカルシニューリン阻害薬。現在の効能・効果は、臓器移植や骨髄移植における拒絶反応の抑制や、ベーチェット病、尋常性乾癬など。
▽リツキサン点滴静注100mg、同500mg(リツキシマブ(遺伝子組換え)、全薬工業):「後天性血栓性血小板減少性紫斑病」を効能・効果に追加する新効能・新用量医薬品。
抗CD20モノクローナル抗体。現在はCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発血管炎性肉芽腫症のほか、慢性特発性血小板減少性紫斑病などを効能・効果としている。
日本血液学会から、厚労省の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議に対して開発要望が提出されていた。公知申請の該当性に係る報告書を元に19年8月、薬食審第一部会で事前評価が行われた結果、申請が妥当と判断されていた。