規制改革医療・介護WG OTC協会がスイッチ承認スキームの見直しを要望 評価検討会議は「越権行為」
公開日時 2020/02/14 04:52
政府の規制改革推進会議医療・介護ワーキンググループは2月13日、日本OTC医薬品協会からスイッチOTCについてヒアリングを行った。2014年に「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(以下、評価検討会議)」が設置されて以降、製薬企業が直接スイッチOTCを申請できなくなったほか、会議の結論も全員一致が原則となった。このため、スイッチOTC化される品目数が大きく減少、特に新規性の高い医薬品については全て否決されている状況にある。日本OTC医薬品協会は、「評価検討会議がスイッチの可否を決定するのは越権行為」として、「製薬企業は評価検討会議に要望することなく、法に則り直接功労大臣に申請できる」よう、承認スキームの見直しを強く要望した。
スイッチOTCの承認をめぐっては、政府の日本再興戦略2014を踏まえ、新スキームが導入された。再興戦略には、「企業の承認申請に応じて速やかな審査を行う」、「産業界・消費者等のより多様な主体からの意見が反映される仕組み」とすることが盛り込まれた。
ただ、実際はこうした流れと逆行する結果となった。これまで製薬企業から直接薬食審薬事分科会要指導・一般用医薬品部会で認め承認、上市されてきた。しかし、日本再興戦略を踏まえた新スキームでは、製薬企業も消費者や学会と同様に要望を提出し、評価検討会議でスイッチOTC化の妥当性を評価し、「可」となることが必須となった。事実上、製薬企業から直接申請する道筋が絶たれた格好だ。
この議論の流れは、2016年、17年当時の議事録に残っており、日本医師会の代表として当時委員を務めた鈴木邦彦氏が企業からの申請スキームを残すことを問題視。さらに15年、17年に同委員が「全会一致」を主張し、仕組みが見直されるに至っている。委員も「各疾患領域における薬物療法に関する医学的・薬学的な学識経験を有する者、医療関係者、消費者代表等からなる委員」の選出が求められているものの、大半を医師が占めている状況にある。
◎スイッチ化の基準は不明確「反対を見つける議論になっている」
セルフメディケーションの推進が重視されるなかで、スキームが変更された14年以降は、これに逆行するようにスイッチOTCの品目数は減少している。特に、これまでと異なる作用や効能が新しい新規性の高い製品は一品目も承認されていない状況にある。パブリックコメントでは、圧倒的に賛成の声が寄せられた緊急避妊薬(スイッチOTC化:320件、反対20件)も結果的には否決された。濫用の恐れのない医薬品についても濫用を指摘。インターネット販売が法律で認められているにもかかわらず、「インターネット販売における不適切な販売の懸念」を理由にスイッチ化が見送られた例もある。
こうした状況について日本OTC医薬品協会は、改善を要望した。スイッチ化の判断基準については、「反対理由を見つけるための議論となっているため、論点がすり替えらえることがある」と指摘。「一般原則を制定し、スイッチ化の判断基準を明確化」することを求めた。
評価検討会議の在り方についても、「必要性、リスク等について議論し、厚労大臣に意見具申する会議体」とすることを求めた。また、評価検討会議の委員には、消費者や医療経済専門家、医療保険支払側などを委員に加え、全会一致を辞めるよう訴えた。
会議後のブリーフで、事務局は、厚労省側の受け止めについて、「評価検討会での議論の仕方を見直す作業を始めている」として、いわゆる”事前検討段階”との回答にとどまったと説明した。