中国武漢から帰国後入院の5人 新型コロナウイルス陰性 国内感染は8例に
公開日時 2020/01/30 04:50
中国武漢市からチャーター便で帰国し、発熱や咳などの症状を訴え、医療機関に搬送された帰国者5人が新型コロナウイルス陰性だったことがわかった。厚労省が1月30日未明に発表した。このほか、29日には、国内で日本人8例目となる感染も確認された。
厚労省によると検査は、機内や空港内で症状が認められ、医療機関に搬送された5人と、同意を取得できた199人に対して行われた。全員分の結果はまだ出ていないが、国立国際医療研究センター(NCGM)での問診や診察の結果、191人は「特段の症状がない」と確認されていたという。一方ほかの8人には、発熱やせきなどの症状が認められ、うち7人が入院となった。これによりチャーター第一便での帰国者206人のうち、計12人が医療機関に入院することになっていた。
検査への同意が得られなかった2人については、検疫官が公共交通機関を使わずに自宅に送り届け、健康状態をフォローアップする。いずれも少なくとも2週間は外出を控えるよう促し、健康状態を定期的にフォローアップするとしている。帰国者に対し厚労省は、帰宅もしくは国が用意した千葉県内のホテルで待機することを要請している。検査の結果が出たあとも、少なくとも1週間は外出を控え、その後の1週間も不要不急の外出を控えるよう求めている。
◎国内感染例は8例目に 武漢市ツアーのバスガイド
一方で、国内の感染者は8例に拡大した。8例目は、40代女性。28日に感染が発覚したバス運転手とともに中国武漢市からのツアー客が乗るバスにガイドとして乗車していた。20日に発熱し、東京都内の医療機関を受診。再度、22日 大阪府で医療機関を受診し、23日には症状が改善せずに保健所に相談し、大阪府の医療機関を受診、肺炎の所見があり入院していた。29日に症状は咳のみと改善しており、現在経過観察のため、入院中としている。
◎日医 新型コロナ感染疑い例は保健所に電話・相談を 対策本部を設置
感染が拡大するなか、日本医師会など医療関係団体や、厚労省も対策を急ぐ。日本医師会の松原謙二副会長は1月29日の定例会見で、「患者本人に状況が判断できない場合や、感染の可能性が危惧される場合は、保健所に連絡して指示を仰いだうえで、指定された医療機関に行ってほしい」と呼びかけた。医療機関の受診前に保健所に相談してもらうことで、感染を防ぎ、適切な医療に結び付けたい考え。28日に中国武漢市に渡航歴のないバス運転手の感染が明るみとなり、ヒトからヒトへの感染が懸念されることなどを踏まえた。この日の会見では、緊急性を踏まえ、28日に新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長:横倉義武会長)を設置したことも公表した。
対策本部は、新型コロナ新型コロナウイルス感染症を指定感染症とする政令が公布されたことを受け、設置された。国内の感染例などについて情報の確認、周知を進め、国内の感染防止に取り組む考えだ。28日に開いた第一回会議には、横倉会長を含む14人の全役員が参加した。日医会内には、感染症危機管理対策室があるが、特定の感染症への対策本部を立ち上げるのは、2009年の新型インフルエンザ以来という。
◎厚労省「健康フォローアップセンター」設置 帰国者の経過追う
厚労省は同日、武漢市周辺から渡航した人に対し、電話などで健康状態の聞き取りを行う「健康フォローアップセンター」を設置した。入国後に発症した人を迅速かつ一元的に把握することで、感染拡大を防止したい考え。具体的には、中国からの便の搭乗者のうち、武漢市などの滞在歴がある人に質問票を配布し、症状があった人との接触などを把握する。症状がある人は毎日、症状のない人も数日に1回程度、電話やメールで連絡をと取り、2週間にわたって健康状態の経過を追う。チャーター便での帰国者もフォローアップの対象に含まれている。
【一部情報を修正しました(午前8:50)】