医療用薬6製品 効能追加など承認取得 ルセンティスは初の未熟児網膜症治療薬に
公開日時 2019/11/25 04:53
医療用医薬品6製品が11月22日、効能追加などの承認を取得した。ノバルティスファーマの抗VEGF治療薬ルセンティスは、未熟児網膜症の効能を追加する。これまで未熟児網膜症には、レーザー治療が行われており、同剤が初の治療薬となる。
承認された製品は以下のとおり(カッコ内は一般名、製造販売元)。
▽エムプリシティ点滴静注用300mg、同400mg(エロツズマブ(遺伝子組換え)、ブリストル・マイヤーズ スクイブ):「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新用量医薬品。
現在はレナリドミド、デキサメタゾンと併用して用いるが、今回、ポマリドミド、デキサメタゾンとの3剤併用療法を可能にする。細胞表面の糖タンパク質であるSignaling Lymphocyte Activation Molecule Family member 7(SLAMF7)を特異的に標的とする免疫賦活抗体。
▽カイプロリス点滴静注用10mg、同40mg(カルフィルゾミブ、小野薬品):「再発または難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする新用量医薬品。
デキサメタゾンとの2剤併用療法について、現在は週2回投与で用いるが、今回、週1回投与を可能にする。週1回投与の場合、本剤を1、8、15日目に点滴静注したあと、13日間休薬するという28日間を1サイクルとして投与を繰り返す。プロテアソーム阻害薬で、骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導する。
▽トルツ皮下注80mgシリンジ、同80mgオートインジェクター(イキセキズマブ(遺伝子組換え)、日本イーライリリー):「既存治療で効果不十分な強直性脊椎炎」の効能・効果を追加する新効能・新用量医薬品。
サイトカインであるインターロイキン 17A(IL-17A)に特異的に結合し、IL-17受容体との相互作用を阻止する、ヒトIL-17Aに対するヒト化IgG4モノクローナル抗体。IL-17Aは自然発生するサイトカインで、炎症及び免疫反応に関与するが、同剤によって、炎症性サイトカイン及びケモカインの放出が阻害される。
▽ルセンティス硝子体内注射液10mg/mL(ラニビズマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ):「未熟児網膜症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
未熟児網膜症に対する現在の標準治療であるレーザー治療は、病態を引き起こす血管内皮増殖因子(VEGF)の増加に対処できず、白内障など将来の合併症のきっかけになる可能性があった。この疾患に対する初めての治療薬として承認された。抗血管内皮増殖因子(抗VEGF)治療薬。
▽ソリリス点滴静注300mg(エクリズマブ(遺伝子組換え)、アレクシオンファーマ):「視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防」の効能・効果を追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。
補体タンパク質C5を標的とする遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体。C5の活性化によるC5a及びC5bの産生を阻害することで神経筋接合部におけるアセチルコリン受容体の消失と、それに伴う神経筋伝達障害を改善すると考えられている。発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制などに使われている。
▽テセントリク点滴静注1200mg(アテゾリズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果とする新用量医薬品。
化学療法未治療の扁平上皮がんを除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの用法・用量について、これまでの「カルボプラチン、パクリタキセル及びベバシズマブ(遺伝子組換え)との併用において」との部分を、今回、「他の抗悪性腫瘍剤との併用において」に変更する。併用可能な薬剤は、添付文書に新たに記載される国際共同フェーズ3試験結果に基づき、プラチナ製剤のシスプラチンを用いることも可能にする。がん免疫療法薬で、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体。