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バイオシミラーフォーラム BS普及には製品への懸念払拭が必要 使用経験・エビデンス蓄積を

公開日時 2019/07/19 03:51
バイオシミラー協議会主催のバイオシミラーフォーラムが7月18日、東京都内で開かれ、シンポジストからはバイオシミラー(BS)普及には、医療従事者の製品に対する有効性、安全性、品質への懸念を払拭する啓発や取り組みが必要との指摘が相次いだ。そのため、BSの特性に関する普及啓発に加え、BSに切り替えた際の有効性や安全性など使用経験やエビデンスの蓄積が必要だとした。先行バイオ医薬品との適応不一致も使いづらさの一因と指摘された。

フォーラムは今回で5回目。「BSの普及への期待と課題」をテーマに行った。その中で、山王メディカルセンターのリウマチ・痛風・膠原病センター長の山中寿氏は、リウマチ治療を例に生物学的製剤の登場で寛解が望めるに至った一方で、薬剤の高額化や治療期間の長期化で重くなった治療費負担の軽減、ひっ迫する医療費の抑制には「BSの導入は避けて通れない」と強調した。

しかし、バイオシミラー協議会によると、BSが登場している疾患領域の医師230人を対象にした調査では、BS使用前は、5割弱が有効性、安全性、品質に懸念を示している。日本リウマチ友の会の長谷川三枝子会長は、会内で「経済的に厳しくともバイオ製剤を選べる手立てが具体的な課題として出ている」と明かす一方、「しかし、医師からBSの(治療)提案はあまりなされていない」との認識を示した。

山中氏は「BSはまだまだ十分に周知されていない。特に医療関係者」と指摘し、有効性・安全性の理解の促進を課題にあげた。さらに、診療ガイドライン(GL)へのBSの収載にも触れた。しかし、「GLはエビデンスベースドであり、収載のハードルは高い。BSはエビデンスがまだ少ない」と述べ、さらなるエビデンスの蓄積が必要だとした。

◎適応不一致は取違え、在庫増リスク

亀田総合病院の舟越亮寛・薬剤部長は、医療従事者の懸念に対し、継続的な啓発活動とともに、使用経験を医療機関や地域で評価していく取り組みを提案した。

また、臨床での使いづらさについて、先行バイオ医薬品とBSとの適応不一致をあげ、取違えや在庫増のリスクが生じることを説明。さらに、BSへ切り替える際のプロトコル、標準化もの必要性を指摘した。中和抗体の発生などは臨床現場で評価が困難なため、製品企業などの協力が必要だとした。

医療経済の立場から神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科の坂巻弘之教授は、BSが先行して使われてきた欧州を例に、BSに対する理解、経験、データ蓄積、前向きスイッチ(BSへの切り替え)研究RWD研究などが使用促進に重要と指摘した。

シンポジウムでは、BSの処方、BSの採用や使用促進のための体制整備をした際の診療報酬上の評価を求める意見も出た。それに対し厚労省医政局経済課の田中大平課長補佐は、「BSはまだまだ浸透してない。その素地、環境を整えたうえで、診療報酬の手当をどうするとかが重要になる。まずは普及啓発を地道に進めていきたい」と述べた。それに対し、山中氏は「厚労省がBSを推進していることをインフォーメーションすることが大きな影響を与える。推進していることを明確に示すことで、我々(医療従事者)の理解はうんと変わると思う」と述べ、厚労省に対応を促した。
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