小野薬品「合意のもとに契約締結」 本庶氏の対価上乗せ要求には応じず
公開日時 2019/05/24 03:50
小野薬品は5月22日、ノーベル賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授が抗がん剤・オプジーボの特許対価の引き上げを求めていることに対し、「契約は両者が合意のもとに締結した」とするコメントを発表した。同社は、「今後も契約に基づく対価を支払っていく」としており、現時点で対価の上乗せには応じない姿勢だ。
本庶氏は4月会見を開き、オプジーボに関する小野薬品と共有する特許について、「対価が少なすぎる」として、対価の引き上げを訴えていた。問題視しているのは、2006年に同社と締結した契約内容。特許対価について、「抗がん剤として使うPD-1抗体用途特許が重要であるにもかかわらず、対象を狭め、特許対象をタンパク・遺伝子のみであると明記し、それを前提とした計算方法が展開されている」と指摘している。このため本庶氏は同社に対し、契約内容の見直しや、自身が京大に創設した若手研究者の支援基金への資金拠出を求めている。
◎本庶氏代理人「寄附金の金額低すぎる」 訴訟も検討
これに対し同社は、同日発表したコメントのなかで、若手研究者の育成を目的とした京大への寄付を検討しているとコメント。一方、本庶民の代理人の井垣太介弁護士は本誌取材に対し、「寄付という方法自体はこちら側が提案したものだ」と反論した。
そのうえで、「同社から京大に提案された寄付金の金額は、以前なされていた特許率の引き上げ提案よりも悪く、低すぎる」と主張。「以前の提案を復活させないのであれば訴訟提起を検討する」とコメントした。