東邦HD・18年度決算 医薬品卸売事業は1.3%の増収に 価格改善などで
公開日時 2019/05/10 03:50
東邦ホールディングス(HD)は5月9日、2019年3月期(18年度)通期決算を発表し、当初減収予想だった医薬品卸売事業は1.3%の増収となった。がん免疫療法薬、希少疾病用薬など取扱卸限定品の売上増とともに、流通改善ガイドライン(GL)に基づく納入価格改善が寄与した。
医薬品卸売事業では当初、1.36%減収、30.05%の営業減益を予想していた。薬価改定の影響を受ける国内市場を厳しめに読んだうえ、ギリアド社のC型肝炎治療薬の落ち込みなどを想定したためだが、結果として売上増と価格改善による粗利改善で利益額は増額。18年度通期では売上高は1兆1754億1300万円の1.3%増、セグメント営業利益は160億8400万円の6.2%減にとどめた。とはいえ、ギリアド社の製品売上は60億円と、17年度より約7割減となったことが利益に影響した。妥結率は2年前より1.7ポイント低い95.5%だった。
19年度 消費増税改定などで「市場予想難しい」
2020年3月期(19年度)見通しについて同社は、消費増税に伴う薬価改定が10月に予定され、20年4月予定の通常改定も控えることをから「市場動向については引き続き予想が難しい状況にある」とした。同社の加藤勝哉・取締役社長は本町記者会で会見し、「予定される2回の改定が影響してくる。また、メーカー側の動きとして、販売情報提供活動ガイドラインがどのように影響してくるか、仕切価の設定では一次売差マイナスの改善に向けどう対応してくるか」と、予定される通常改定の直前の19年度末まで見通しにくい状況を説明した。
この中で同社は全事業の19年度業績について、売上高は0.1%増のほぼ横ばい、営業利益は新規物流センターの減価償却の影響などで5.0%減と見込む。
【連結業績(前年同期比) 19年度予想(前年同期比)】
売上高 1兆2221億9900万円(0.7%増) 1兆2230億円(0.1%増)
営業利益 157億8300万円(17.0%減) 150億円(5.0%減)
当期純利益 138億6300万円(3.6%減) 136億円(1.9%減)