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製薬協 製品情報概要作成要領を全面改定 販売情報提供活動GLへの対応も

公開日時 2019/04/25 03:52

日本製薬工業協会(製薬協)は4月24日、「医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領」の改定について会員企業に周知した。今回の改定は2019年4月に施行した販売情報提供活動ガイドライン(GL)や添付文書の記載要領の改定などを踏まえたもの。学会発表の要旨や記録集、文献要旨集は「医療関係者から求めに応じて提供する」と明記。「要求された資材、個人に限定し提供される使用とすること」を求めた。ウエブ上であっても、情報提供を求めた医師など医療関係者に対し、個別にID、ワンタイムパスワードを発行するなどで、制御することを求めている。このほか、一定の要件を満たした「リアルワールドエビデンス(RWE)」であれば、製品情報概要に記載できることも盛り込んだ。

改定は、①添付文書等の記載要領改定、②広告活動監視モニター事業報告書、③販売情報提供活動GL、④審査会の指摘事例を基にしたルールの明確化―が主なポイントとなっている。

◎記録集、文献別刷り等 表紙に「積極的に提供する資材ではない」と明記

厚労省の販売情報提供活動
GLの施行を受け、学会発表要旨・記録集、文献別刷、文献要旨集については、「医療関係者からの求めに応じて提供するものであり、自ら積極的に提供するものではない」と明記した。資材表紙に、「記載された薬剤の使用に当たっては添付文書を参照する」、「本資材は医療関係者から求めに応じて積極的に提供する資材ではない」ことを明記することを求めた。

GL
では、販売情報提供活動の資材は、「媒体を問わない」とされていることから、ウエブを通じた情報提供も明確化した。

掲載する際は、①製品ページから独立させる、②要求された資材、個人に限定し、提供されるしようとする、③単に閲覧希望の有無(
YESNO)の確認のみで閲覧できるような仕組みとしない、④メール、案内状(紙資材)、外部サイトなどで積極的に誘導しないことを求めた。ただし、求めに応じて掲載したURLなどを連絡することは可能とした。このほか、詳細な情報は要求された人に対してのみ表示される“制御”が必要と指摘した。さらに、「求めに応じた経緯を補完することが望ましい」とした。このほか、利益相反については、これまで臨床成績に限っていたが、基礎データについても明確化することも求めた。

販売情報提供活動監視事業による外部モニターなどで、“社会の監視”が強くなるなかで、製薬協が業界独自の自主ルールを整備することで、透明性を高める狙いがある。

記載事項は、「科学的根拠に基づき、正確、公平かつ客観的なもの」であることが必須。学会などが作成する診断・治療ガイドラインなどを出典として引用する場合は、引用を原文のまま記載することや、ガイドラインの主旨を忠実に反映することに加え、「自社医薬品に都合のよい箇所のみを引用しないこと」などを求めた。

◎RWEを追加 ただ広告資材等に用いる場合は「慎重な対応」を

記載できる臨床試験については、二重盲検比較試験や承認審査過程で提出され評価を受けた試験、無作為化比較試験に加え、新たに「リアルワールドエビデンス(
RWE)」を加えた。レセプトデータやDPCデータ、診療録、レジストリーなどから得られたリアルワールドデータ(RWD)とし、そこから導き出されるものをRWEと位置付けた。ただ、「RWEは、さまざまなバイアス混入の可能性があるため、広告資材等に用いる場合には、慎重な対応が求められる」とした。

具体的には、①承認された範囲内(効能効果、用法用量)のエビデンスを補強、あるいは補完するものであって、承認外の使用を促すものではない、②対照薬、併用薬、参照薬について、公平性が担保可能な条件である、③補足情報の位置づけであることから、承認の主な根拠になった検証的な臨床試験結果(多くの場合、
RCT)とともに記載する、④様々なバイアス混入の可能性があるため、結果を解釈する上で重要な限界を併記する―の4項目すべてを満たすこととし、高いハードルを設けた。

紹介範囲は、承認内(効能効果・用法用量)であることが原則。メタ解析でも、「個々の試験で自社製品が承認範囲内であることが必要」とした。ただ、臨床試験の対照薬や参照薬、併用薬については国内承認外であっても、国内の承認用法用量(もしくは、国内未承認)を明確に記載することとした。ただし、自社品の場合は、対照薬や併用薬であっても、記載はできない。監視モニター事業で、承認外のデータを削除したことが問題事例としてあがったことから、一部データを削除し資材を作成する場合は、削除した理由の記載を求めた。

◎安全性の記載は有効性と「同じ」もしくは「それ以上の文字サイズ」で


広告活動監視モニター制度での問題事例を踏まえ、「安全性の軽視が問題となっている」ことも指摘。安全性の記載が有効性に比べ小さい事例などがあったという。そのため、「臨床成績において有効性を記載する場合は安全性についても記載すること」、「安全性の記載にあたっては、有効性の結果を示す本文と同じかそれ以上の文字サイズとすること」を求めた。

試験結果について、可能な表現も明確化し、“根拠のない形容詞で差の大きさを脚色”することを禁止した。検証試験の結果で検証されなかった場合は、「非劣性は検証されたが優越性は検証されなかった」ことを明記することも求めた。有意差がない場合、ハザード比は記載してよいが、リスク減少率は記載しないこととしている。

作成要領は、4月1日に改定。半年間の周知期間を設け、
101日以降に作成する資材は、改定した作成要領に基づくことを求める。既存の資材については、20年9月30日までの改定するよう周知を図る。  

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