厚生労働省医薬・生活衛生局は1月10日、新たな重大な副作用などが判明した医療用薬の添付文書を改訂するよう日本製薬団体連合会に通知で指示した。この中でフルオロキノロン系抗菌薬と大動脈瘤・大動脈解離との関連系示唆する疫学研究などが海外で報告されたことを踏まえ、添付文書の「重大な副作用」に「大動脈瘤、大動脈解離」を追記することになった。
改訂指示のあった製品と概要は次のとおり(カッコ内は一般名、製造販売元)
▽アベロックス錠(モキシフロキサシン、バイエル薬品)▽オゼックス錠、同細粒小児用、同錠小児用 (トスフロキサシントシル酸塩水和物、富士フイルム富山化学)、トスキサシン錠(同、マイランEPD) 他▽クラビット錠、同細粒、同点滴静注バッグ、同点滴静注(レボフロキサシン水和物、第一三共)他▽グレースビット錠、同細粒(シタフロキサシン水和物、第一三共)他▽シプロキサン錠(シプロキサシン塩酸塩水和物、バイエル薬品)他▽シプロキサン注(シプロキサシン、バイエル薬)他▽ジェニナック錠(メシル酸ガレノキサシン水和物、富士フイルム富山化学)▽スオード錠(プルリフロキサシン、Meiji Seika ファルマ)▽タリビッド錠(オフロキサシン、第一三共)他▽バクシダール錠、小児用同錠(ノルフロキサシン、杏林製薬)他▽バレオンカプセル、同錠(塩酸ロメフロキサシン、マイランEPD)▽パシル点滴静注液(パズフロキサシンメシル酸塩、富士フイルム富山化学)、パズクロス点滴静注液(同ね田辺三菱製薬)
指示概要:
「慎重投与」に「大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子(マルファン症候群等)を有する患者」を追記。
「重要な基本的注意」に「観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導する」旨を追記し、慎重投与に該当する患者については「必要に応じて画像検査の実施も考慮する」旨を追記。
「重大な副作用」に「大動脈瘤、大動脈解離」を追記。
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない症例):なし
改訂理由:海外の疫学研究、非臨床試験で、大動脈瘤、大動脈解離との関連性が示唆され、専門委員の意見も踏まえた協議の結果、「複数の疫学研究において一貫した結果が得られていることを重視し、現時点で改定することが適切と判断」。
薬効分類:624 合成抗菌剤
▽スピンラザ髄注 12mg(ヌシネルセンナトリウム、バイオジェン・ジャパン)
指示概要:「重大な副作用」に「水頭症」を追記。
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない症例):1例(死亡例なし)
薬効分類:119 その他の中枢神経系用薬
▽インライタ錠(アキシチニブ、ファイザー)
指示概要:「重大な副作用」に「間質性肺疾患」を追記。
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない症例):2例(死亡例なし)
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬
▽レブラミドカプセル(レナリドミド水和物、セルジーン)
指示概要:「重大な副作用」に「進行性多巣性白質脳症(PML)」を追記。
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない症例):なし
改訂理由:海外症例が集積したため。
薬効分類:429 その他の腫瘍用薬
▽ダクルインザ錠(ダクラスタビル塩酸塩、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
▽スンベプラカプセル(アスナプレビル、ブリストル・マイヤーズスクイブ)
▽ジメンシー配合錠(ダクラタスビル塩酸塩/アスナプレビル/ベクラブビル塩酸塩、ブリストル・
マイヤーズスクイブ)
指示概要:「重大な副作用」に「腎機能障害」を追記。
過去3年の国内報告数(因果関係が否定できない症例):ダクルインザ錠とスンベプラカプセルの併用において5例(死亡例なし)
薬効分類:625 抗ウイルス剤