EMA移転前にスタッフ3割減、業務に支障も
公開日時 2018/08/30 03:50
Brexit(英国のEU離脱)に伴う、EMA(欧州医薬品庁)の移転までにこのままだと、スタッフ数が3割減となることが分かった。EMAが、8月1日に発表した、移転の準備状況についての報告で明らかになった。
EMAはBrexitの結果、業務に支障を来さないよう業務別に優先順位を設け、継続できる業務と継続できなくなる可能性のある業務を分類、これを業務継続計画と名付け、フェーズ1からフェーズ3に時系列的に定義、すでにフェーズ1および2を発表、この10月にはフェーズ3の詳細を発表する。その概要が今回の報告で示された。
業務の一部が継続不可能になる理由としてスタッフの減少が大きい。スタッフの中には、アムステルダムへは転勤しないとしてすでにEMAを辞めたものも多いという。スタッフが辞職する傾向が今後も続き、このため一部業務に支障が出ることが徐々に明らかになってきた。
EMAでは、これに加え、スタッフについては、オランダの雇用規制により、135人の短期雇用のスタッフがEMAで働けなくなり、今後、全体で移転決定前の態勢から3割のスタッフが減少すると見込まれる。EMAでは、この事態に対応するために、スタッフのアムステルダムへの転勤を支援するほか、オランダ政府も支援を行っている。
しかし、アムステルダムへの移転前後にはスタッフ不足の実態は変わらないと予測され、EMA業務遂行に優先順位を設け、一部業務を停止しなければならない状況となっている。
フェーズ3における、スタッフ不足により影響を受ける業務の概略は、以下の通り。
▽国際協力業務のうち、規制の国際的調和(ハーモニゼ―ション)の問題。薬剤耐性やワクチン対応については、できるだけ国際協調を維持する。
▽公衆衛生上もしくは動物衛生上緊急の必要性のある対策、あるいはBrexitに必要なものを除くガイドラインの策定及び改定。
▽関係者会議については、EMAによる主催及び参加は、Brexit関係以外は避ける。
▽臨床試験データの公表については、2018年8月2日付で新規の手続きを一時的に停止する。7月末までに提出されたデータパッケージは処理中で、今後最終的にまとめられる。