中外 AIベンチャーのPreferred Networks社と包括提携 研究開発などの生産性向上狙う
公開日時 2018/07/27 03:50
中外製薬は7月26日、AI開発の国内ベンチャー企業Preferred Networks(PFN)社と包括的バートナーシップ契約を締結したと発表した。現在、新薬やバイオマーカー候補の探索や製造工程における外観検査の効率化を図るプロジェクトなどが候補にあるという。中外は、創薬研究、臨床開発、マーケティングなどバリューチェーンの生産性向上を目指す。
中外はPFN社の第三者割当も引き受けて約7億円を出資する。両社で取り組むプロジェクトは今後決定するが、中外の事業活動全般を対象に、AIの応用が適するものを選抜する。PFN社のAI開発ノウハウ、大量データの分析技術を活かし、中外が抱える事業やアンメットメディカルニーズなどヘルスケア領域の課題に応える新薬やソリューションを開発する。成果が得られれば中外は、PFN社にライセンスフィーやロイヤリティーを支払う。
小坂達朗社長は、同日に行った会見で「AIの活用によるイノベーションの促進」のために行うものだとし、「革新的な医薬品・サービスの連続的創出、生産性の向上につなげることが狙い」と説明した。
なお、PFN社は、医療領域では国立がん研究センターと協業を進めていることで知られている。16年11月、国がんが持つ診療データをAIにより解析し、がんの個別化治療に必要なシステムの実用化につなげる「AIを活用した統合的がん医療システム開発プロジェクト」を発表している。