Brexit 企業対応に格差みられる:EMA調査
公開日時 2018/07/23 03:50
欧州医薬品庁(EMA)は7月10日、英国で業務展開を行っている製薬企業の間で、2019年3月29日のBrexit(英国のEU離脱)への対応が企業によって格差があるとの調査結果を発表した。
Brexitまでもはや10か月ほどしか残されていないが、未だEUとの適切な貿易協定も締結されていないなか、欧州と英国間の医薬品供給は不透明といえるため、関係者の間では、承認取得者による手続きの変更が順調に進捗するか、や医薬品の安定供給が行われるのかに懸念が高まっている。
EUでは、中央審査方式により承認された製品(CAP)は、Brexitに伴い、販売承認取得者は、英国以外の欧州経済地域(EEA)に承認取得の管轄庁を移転しなければならない。承認取得以外の業務(担当)では、ファーマコビジランス担当有資格者(QPPV)やファーマコビジランス・システム・マスターファイル(PMSF)などもEEA諸国に移転しなければならない。
EMAでは、このようなことを背景に今年1月、EU加盟国における製薬企業を対象に、Brexitに対する準備状況についてアンケート調査を実施した。694のCAP製品(ヒト医薬品661製品、動物薬33製品)の販売承認取得者(企業)で、英国に製造所を持つか、品質管理を行っているか、輸入事務所を持つか、ファーマコビジランス(市販後監視)担当有資格者(QPPV)を配置しているか、ファーマコビジランス・システム・マスターファイル(PMSF)を設置しているか‐などの企業に対して調査票を送った。
調査の結果、694のCAP製品のうち58%がBreixt後も承認が有効になるよう諸手続きが順調に進んでいるとの回答を得た。しかし、108のCAP製品(ヒト医薬品88製品、動物薬20製品)については、英国のみの製造を行っており、Brexitまでに必要な変更手続きがなされるか懸念されている。なお、CAP製品の10%については、関係企業から回答はなかった。
EMAは、現在、調査結果を詳細に分析、医薬品不足などのリスクが生じないように関係企業と協力し、場合によっては、一定の緩和措置なども図る考え。