製薬協・田中常務「目の前の医療関係者をモニターと思う情報提供の徹底を」 コード遵守で通知発出
公開日時 2018/05/25 03:52
日本製薬工業協会(製薬協)は5月24日、厚労省の発表した「2017年度医療用医薬品の広告活動監視モニター事業」の結果を踏まえ、コード・コンプライアンス推進委員会が製薬協コードの遵守を徹底するよう、会員各社に要請する通知を発出したことを明らかにした。16年度に続いての措置となる。製薬協の田中徳雄常務理事は、「遺憾」とした上で、「もちろん違反をゼロにしなくてはいけない。それとともに、目の前におられる医療関係者がすべてモニターの方だと思って正しい情報を正確に伝えることを徹底するよう申し上げている」と述べた。
17年度広告活動監視モニター事業では、薬剤師・DI担当者などモニターを通じて、疑義報告があったMRやMSLの広告・宣伝活動が5か月間で延べ52製品、違反疑い項目が延べ67件報告された。16年度と同様に、未承認の効能効果や用法用量を示した例や、事実誤認の恐れのあるデータ加工を行うなどの例があった。医局説明会やインターネット上の会員サイトなど“クローズドな場”で、海外データや社外秘データなどを活用する例が複数報告され、資料を回収する事例も散見された(関連記事はこちら)。
田中常務理事は、16年度に18社が行政指導を受けたことを踏まえ、コード・コンプライアンス管理責任者の会などを通じ、繰り返し啓発を行ってきた。「今回呼ばれなかったからよかったのではなく、事例を総点検に使ってくれという話をしてきたが今年も、起きてしまった」と嘆いた。「モニター事業は今後も続くと聞いているので、来年も同じようなことがないようにしたい」と述べた。
◎情報提供GLに沿って「襟を正す」
厚労省は、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」の策定に向けた検討を進める。今夏にもガイドライン案を公表し、パブリックコメントを踏まえ、遅くとも年内に取りまとめる方針。ガイドラインでは、資材の使用実態などの点検、監督(モニタリング)について社内で義務化するなど、経営陣の監督責任を含めて盛り込む方向で検討が進められている(関連記事はこちら)。
田中常務理事は、「いずれパブコメにも出ると思うが、それ以前にも当局とやり取りをさせていただければと思っている」と述べた。その上で、「我々が不適切なものを繰り返している以上は、そういう所で正していただいて、我々もガイドラインに沿って襟を正すことを務めたいと思っている。本来ならガイドラインになる前に、自らコードを守り、モニター事業に1件も報告があがってこないということを求めていたが、残念ながら叶わなかった。決められたものについては周知徹底していく」と述べた。