米FDA 甲状腺がんにダブラフェニブ、トラメチニブ併用を承認
公開日時 2018/05/14 03:50
米食品医薬品局(FDA)は5月4日、スイス・ノバルティス社の米法人Novartis Pharmaceuticals Corporation社の分子標的抗がん剤Tafinlar(ダブラフェニブ)と同Mekinist(トラメチニブ)の併用について、BRAF V600 遺伝子変異陽性の切除不能もしくは転移未分化甲状腺がん(ATC)の適応で承認した。
TafinlarはBRAF阻害剤で、MekinistはMEK阻害剤である。Tafinlar、Mekinistともにすでに単剤あるいは併用でBRAF V600 遺伝子変異陽性の悪性黒色腫および併用でBRAF V600 遺伝子変異陽性の転移非小細胞肺がん(NSCLC)の適応で承認されている。
FDAは、今回の両剤の併用については、優先審査、画期的新薬(BT)および希少疾病薬の指定を行った。
未分化甲状腺がんに対するTafinlarとMekinistの併用による副作用は、両剤が他のがん(悪性黒色腫およびNSCLC)において発現したものと同じで、発熱、発疹、頭痛、関節痛、咳嗽、疲労感、嘔吐、下痢、筋肉痛、食欲不振、浮腫、出血、高血圧、呼吸困難など。Tafinlarの重篤な副作用には、新たながんの発生、重篤な出血、心障害、重篤な眼障害、高熱、重篤な皮膚反応、高血糖、重篤な貧血など。Mekinistでは、新たながんの発生、腸炎症、腸穿孔、上下肢および肺における血栓、心障害、重篤な眼障害、呼吸障害、高熱、重篤な皮膚反応、高血糖など。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur腫瘍研究拠点部長兼血液・腫瘍製品部長代理は、「今回の承認は、攻撃的なタイプの甲状腺がんを患う患者に対する初のFDA承認治療薬となったばかりでなく、この特定の遺伝子変異を持つ3つ目のがんに対する両剤の併用となった」と指摘した。そのうえで、「今回の承認は、多様な疾患における同一の分子経路を標的にすることが、より多数の患者を救う治療薬開発を促進するのに効果的な方法であることを浮き彫りにした」と同剤を評価した。
米国立がん研究所(NCI)によると、2018年には、5万3990人が新規に甲状腺がんと診断され、2060人が死亡すると見込まれている。ATCは、全ての甲状腺がんの約1~2%を占めるという。