財務省主計局 後期高齢者の窓口負担2割を提案 年齢でなく能力に応じた負担を
公開日時 2018/04/26 03:50
財務省主計局は4月25日の財政制度等審議会財政制度分科会に、75歳以上の後期高齢者の窓口負担を2割に引き上げる改革案を提示した。高齢化や労働生産人口の減少など社会構造が変化する中で、医療保険制度を維持するためには、給付と負担のバランスを「年齢ではなく、能力に応じた負担」に見直すべきと主張したもの。出席委員からは、社会保障費の伸びを抑制する切り口の一つとして、負担能力に応じた窓口負担のあり方を議論することに賛同する意見が見られた。
この日の財政審分科会は、前回4月11日に続き、医療・介護制度改革の視点について議論した。主計局は、団塊の世代が後期高齢者となり始める2022年度までに、世代間の公平の観点も踏まえ、「後期高齢者の窓口負担の引き上げ」を行うべきと主張した。
◎2022年以降 団塊世代の窓口負担1割への引き下げを懸念
具体的には、現在70~74歳について段階的に実施している自己負担割合の2割引き上げと同様に、75歳到達後も自己負担割合2割を維持するよう提案している。加えて、すでに75歳を過ぎた後期高齢者も、数年かけて段階的に2割負担に引き上げるべきと主張している。年齢別人口構成のボリュームゾーンとなる団塊世代の窓口負担が、現行の2割から1割に引き下がり、その際の財政負担が重くなることに警戒感を示したもの。このほか介護保険サービスについても利用者負担を原則2割とするなど段階的に引き上げていくことが必要だとした。
◎後期高齢者の所得判定基準の見直し提案
このほか後期高齢者について主計局は、現役並みの所得者の判定基準についても見直しを行うべきとした。高齢者の医療保険では、金融資産等を考慮に入れて負担を求める仕組みを適用する案も示されたが、金融資産の定義について議論が必要とする指摘があったという。また、医療費が支え手の負担能力を超えて増加した場合に、給付率を見直す仕組みを導入する案に対しては、国民に対し客観的な事実を説明し、議論を醸成して進めていくべきとした。
さらに医療保険の給付率を自動的に調整する仕組みの導入も求めた。年金制度については2004年度に給付率を自動的に調整するマクロ経済スライドが導入されている。主計局は、経済成長や人口動態を踏まえ、支え手の負担能力を超えるような医療費の増加があった場合に、ルールに基づき給付率を自動的に調整する仕組みについて検討し、「人口減少が本格化する前に速やかに導入すべき」とした。
財政審終了後の会見で田近栄治分科会長代理は、「支え手が減るなか、今後どのように負担と給付のバランスをどうとるのか、両サイドを考えないといけない」と述べた。