MSD 抗PD-1抗体キイトルーダ バイオマーカー「MSI-High」を示す固形がんで承認申請
公開日時 2018/04/03 03:51
MSDはこのほど、がん免疫療法薬で抗PD-1抗体のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))について、局所進行性または転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)固形がんに対する効能・効果で、日本で承認申請したと発表した。申請日は3月30日付け。MSI-Highは、傷ついた遺伝子の修復機能異常を示すバイオマーカーで、MSI-Highを示す腫瘍は消化器系がんや子宮内膜がんで最もよくみられる。今回、臓器非特異的な様々ながんの共通バイオマーカーでの適応で承認されれば、国内初となる。
MSI-Highを示す腫瘍には大腸がん、胃がん、すい臓がん、子宮内膜がんのほか、頻度は低いものの乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんなどにもみられる。転移性大腸がんでは患者の約3~5%にMSI-Highを示す腫瘍があるという。
細胞は、細胞分裂に伴う遺伝情報の複製においてDNAの複製ミスが発生した場合、修復機構が働いてそのミスを修復する。この修復機構の機能低下によって、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることを、マイクロサテライト不安定性(MSI)と呼ぶ。
キイトルーダはT細胞に主に発現する受容体のPD-1と、腫瘍細胞に発現するリガンドのPD-L1及びPD-L2の相互作用を阻害する抗PD-1抗体。キイトルーダはPD-1(受容体)に結合して、この受容体のリガンドとの結合を阻害することで、腫瘍細胞のPD-1経路を介する抗腫瘍免疫応答の阻害を解除する。日本では17年2月から販売を開始、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がんなどの適応で承認されている。