米Spark社 高額眼科治療に成功報酬型支払いを提案 米国で2剤目に
公開日時 2018/01/22 03:50
米ベンチャーSpark Therapeutics社(本社:ペンシルバニア州フィラデルフィア)は1月3日、網膜ジストロフィーに対する遺伝子治療Luxturna(voretigene neparvovec-rzyl)について、同治療の価格が非常に高いことから、成功報酬型など患者の便宜を考慮する支払い方法を提案した。同社は、同治療について、昨年12月19日米食品医薬品局(FDA)から承認取得した。Spark社は同治療を3月発売予定である。
今年になり明らかになった同治療の価格は、1回(1回限りで終了)片眼42万5000ドル(4717万5000円:1ドル=111円換算)、両眼85万ドル(9435万円)と両眼だと1億円近い超高額となる。
このため、患者による同剤へのアクセスが懸念されていたため、Spark Therapeutics社のJeffrey D Marrazo CEOは、「本治療法の適格患者が確実にアクセスできるように我々は開発におけるイノベーションと同程度のレベルにこの製品のデリバリーとアクセスにおけるイノベーションをもたらすように努力してきた」と述べ、成功報酬型支払い制度や分割払いなどの提案に至ったことを説明した。
提案した方式は、治療により短期的(30~90日)および長期的(30か月)に全視野刺激試験(FST)など一定の評価法で視力におけるアウトカムが獲得できなかった場合には、治療費を返金するというものだ。また、同社は、CMS(メディケア&メディケード・サービス庁)に対して、保険支払者が支払いを複数年に分割してできるような特例を認めることを求めている。成功報酬型支払いについては、すでにノバルティスが昨年米国で承認された急性リンパ性白血病に対するCAR-T細胞療法のKimriahについて、CMSと成功報酬型支払い制度構築に取り組んでいる。
網膜ジストロフィーは、RPE65両対立遺伝子の変異によって遺伝的に視力が障害を受け、患者によっては全盲に至る重篤な疾患で、既存治療はなかった。この治療法は、RPE65の正常遺伝子を、アデノ随伴ウイルスをベクターとして網膜細胞に直接注入、視力を回復させる。同疾患の患者数は、米国では、1000~2000人とされている。