【速報】厚労省 バイエル薬品に副作用報告遅延で改善指導 1か月以内の改善計画提出求める
公開日時 2017/09/29 18:45
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課は9月29日、バイエル薬品に対して、抗凝固薬・イグザレルトなど86例の副作用報告遅延があったとして、改善指導を行った。同省はバイエル薬品の副作用報告義務違反について「極めて遺憾」とした上で、通知発出後1か月間以内にコンプライアンス対策も含めた是正措置、再発防止策にかかわる改善計画を策定して提出する。さらに今後1年間は四半期ごとの改善計画の実施状況で報告を求めた。併せて、都道府県を通じて、製造販売業者が適切に製造販売後安全管理業務を実施しているか監視の徹底を求めた。
◎副作用報告遅延は合計86例 約4年11か月放置の症例も発覚
副作用報告遅延の内訳は、抗凝固薬・イグザレルト77 例、バイアスピリン5 例、抗がん剤・スチバーガ 5 例、ネクサバール 1 例。7月31日の同省への報告後に、新たに1例が発覚し、計86例となった。副作用の中には、死亡例3例を含む重篤な副作用が74例、最長で約4年11か月放置されたものも見つかった。
副作用報告遅延の理由として、アンケートから知り得た場合など、医療従事者からの自発的・積極的な場合に報告することや、他社の被疑薬と併用された事例が報告されてないなど、社員が副作用報告のルールを十分に認識していなかったことをあげた。また、複数のバイエル薬品の社員が同一の情報を入手した際に適切な報告が行われなかったものもあった。自己点検も、マーケティング部門の社員が対象とされておらず、自己点検の方法、対象範囲が十分ではなかったとした。
◎改善計画策定後、今後1年間は四半期ごとに改善計画の実施状況求める
厚労省は、これを踏まえて、①複数の社員が同一の有害事象を把握した場合にも適切に中央管理統括部門へ報告がなされるよう、安全管理業務手順書を改める、②中央管理統括部門における手続き漏れがないか確実に検出できるようにする、安全性情報に接する可能性のある社員すべてを自己点検の対象とするなど、自己点検を抜本的に見直す、③定期的に安全性情報に接する可能性のあるすべての社員に対する教育訓練を行い、教育内容の理解度を確認する――ことを求めた。通知発出後、1か月間以内にコンプライアンス対策も含めた是正措置、再発防止策にかかわる改善計画を策定して提出することとともに、今後1年間は四半期ごとに改善計画の実施状況の報告を求めた。
これまで副作用報告遅延があったノバルティスファーマなどに対しては業務改善命令が出されていたが、今回の事案について厚労省医薬安全対策課は、「報告遅延の規模や健康被害の発生、悪質性がないかどうかなどを総合的に判断した」としている。