抗PD-1抗体・キイトルーダ 多発性骨髄腫の臨床試験の実施保留受け米FDAが声明
公開日時 2017/09/06 03:50
米食品医薬品局(FDA)のJanet Woodcock医薬品評価研究センター(CDER)長は8月31日、今年7月にFDAが米メルク社の抗PD-1抗体Keytruda(一般名:ペムブロリズマブ、日本製品名:キイトルーダ)の多発性骨髄腫の適応取得を目的とした臨床試験に対して実施保留命令を発したが、この件で声明を発表した。
Keytrudaについて、多発性骨髄腫患者を対象として、免疫調整剤Revlimid(レナリドミド)およびPomalyst(ポマリドミド)との併用下で行われた臨床試験3本で死亡例が報告されたことを受けた対応となる。
Woodcockセンター長は、新薬の臨床試験の重要性を説き、それには必ずリスクを伴うため、安全性に問題が生じた場合は、FDAは薬剤による障害や死亡を防ぐ努力を必要とするとの基本的立場を改めて示した。その上で、FDAはメルク社と協力して、同試験のデータを真剣に検討し、安全性問題の原因の究明に努めていることを明らかにした。また、他のPD-1/PD-L1阻害剤と免疫調整剤との併用、および血液悪性腫瘍に対する他のクラスの薬剤との併用試験の結果も検討する考えを示した。
また、Keytrudaが多発性骨髄腫の治療薬として未承認であること、また、MMに対してRevlimidおよびPomalystを含む免疫調整剤との併用をしてはならないことに注意喚起した。一方で、同剤および他のPD-1/PD-L1阻害剤を服用している患者で、FDAの承認する用法用量であれば、ベネフィットがリスクを上回るとの考えを改めて示した。
Woodcockセンター長は、「本日の警告は、新規の治療薬が患者にとって薬剤を服用するベネフィットがリスクを上回ることを確認するためになぜ臨床試験を行うのかということの重要性を浮き彫りにしたものだ」と述べた。