厚労省は、8月1日に新薬の承認の可否などを検討する薬食審・医薬品第一部会を開催する。MSDが承認申請したエゼチミブとアトルバスタチンを配合した高脂血症治療薬アトーゼット配合錠など5つの新薬を審議する。
【審議予定品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
▽アトーゼット配合錠LD、同HD(エゼチミブ/アトルバスタチン、MSD):高コレステロール血症を対象疾患とする新医療用配合剤。
エゼチミブは小腸コレステロールトランスポーター阻害薬で、MSDとバイエル薬品がゼチーア錠の製品名で販売している。その成分と、HMG-CoA還元酵素阻害薬のアトルバスタチンを配合した製剤で、承認されれば、高コレステロール血症治療薬の配合剤は日本で初めて。MSDとバイエル薬品は同剤の共同販売契約を締結している。
▽献血ノンスロン500注射用、同1500注射用(乾燥濃縮人アンチトロンビンIII、日本製薬):門脈血栓症を追加する新効能・新用量医薬品。
現行の効能・効果は「先天性アンチトロンビンIII欠乏に基づく血栓形成傾向」「アンチトロンビンIII低下を伴う汎発性血管内凝固症候群(DIC)」。
▽レボレード錠12.5mg、同25mg(エルトロンボパグ オラミン、ノバルティスファーマ):再生不良性貧血を追加する新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。
既存治療で効果不十分な場合などに用いる薬剤になる見通し。現行の効能・効果は「慢性特発性血小板減少性紫斑病」。
▽ビザミル静注(フルテメタモル(18F)、日本メジフィジックス):アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内アミロイドベータプラークを可視化する新有効成分含有医薬品。
放射性医薬品。PET検査で用い、アルツハイマー型認知症の診断的評価を補助する。同様の薬剤に、2016年12月に承認されたアミヴィッド静注(富士フイルムRIファーマ)がある。
▽リュープリンSR注射用キット11.25mg(リュープロレリン酢酸塩、武田薬品):球脊髄性筋萎縮症を追加する新効能医薬品。希少疾病用医薬品。
球脊髄性筋萎縮症は、男性だけに発症する遺伝性疾患で、脳の一部や脊髄の運動神経細胞の障害により、手足などの筋肉が萎縮する指定難病。難病情報センターの情報によると、患者数は日本には2000~3000人程度と推定される。承認されれば「球脊髄性筋萎縮症」の効能・効果は日本で初めて。
現行の効能・効果は「前立腺がん」「閉経前乳がん」。
ユーシービーの抗てんかん薬ビムパット 単剤療法を部会報告へ
【報告予定品目とその内容】(カッコ内は一般名と申請企業名)
報告品目は、PMDAの審査段階で承認が了承され、部会での審議が必要ないと判断されたもの。
▽ビムパット錠50mg、同100mg(ラコサミド、ユーシービージャパン):現行の効能・効果である「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」を改め、単剤療法を認める新効能医薬品。
▽ネオーラル内用液10%、同10mgカプセル、同25mgカプセル、同50mgカプセル(シクロスポリン、ノバルティスファーマ):現行の効能・効果である「再生不良性貧血(重症)」から、「重症」を削除し、全般に使えるよう認める新効能医薬品。
▽オビソート注射用0.1g(アセチルコリン塩化物、第一三共):冠動脈造検査時の冠攣縮薬物誘発試験における冠攣縮の誘発に用いる新投与経路医薬品。
冠動脈内に注入して用いる。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を経て公知申請された。そのため既に保険適用されている。
現行の効能・効果である「麻酔後の腸管麻痺、消化管機能低下のみられる急性胃拡張」では筋肉内注射。「円形脱毛症」では皮内注射で用いる。